車両保険を自動車保険に付けるとしても、いろいろなことを決めなければなりません。
車両保険に入るときに決めなければならないことを、大きく2つに分けることができます。
- 車両保険の基本の設定である保険金額、補償される事故の範囲、免責金額。
- 車両保険に特約を付けるかの判断と、特約の補償内容。
このページでは、基本設定である、以下の3つについてご説明します。
特約については、別のページで説明しています。
車種・年式などによって、車両保険の保険金額(=出る金額の上限)が決まります。
自動車保険から、車の修理代を受け取る場合、修理代の実費が出ます。ただし、その金額には上限があります。
車両保険の保険金額とは、その上限の金額を指します。
車両保険の保険金額は年々下がる
車両保険の上限額は、車種や型式や年式などによって、あらかじめ決められています。
車の時価額(中古車市場での取引価格)をもとに、決められています。
当然、その車の、車両保険の上限額=保険金額は、年々下がっていきます。
たとえば、トヨタの「アクア 1500CC」の保険金額の変化を、ソニー損保で調べました。
初度登録から1年後 |
150 ~ 195 万円
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初度登録から2年後 |
140 ~ 185 万円
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初度登録から3年後 |
115 ~ 150 万円
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初度登録から4年後 |
105 ~ 140 万円
|
車種によって、減り方は異なります。
ちなみに、上の表の通り保険金額には一定の幅が設けられています。加入者は、この範囲の中で金額を指定できます。
保険金額を高く設定するほど、保険料は高くなる
車両保険の保険金額に幅があるのは、同じ型式でも、グレードや装備によって車両価格に幅があるからです。
とは言え、自分の車のグレードや装備に関係なく、保険金額を設定できます。
であれば、少しでも高い金額にする方が安心です。
ただし、保険金額を高く設定するほど、保険料は高くなります。
保険料を少しでも節約するなら、保険金額をできるだけ低く抑えましょう。
ただし、保険金額による保険料の差は、それほど大きくはありません。
以下は、トヨタのアクアの保険金額を5万円刻みで変えていったときの、車両保険の年払い保険料です。
保険金額105万円 |
58,610 円
|
保険金額110万円 |
58,780 円
|
保険金額115万円 |
58,950 円
|
保険金額120万円 |
59,120 円
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保険金額125万円 |
59,290 円
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保険金額130万円 |
59,460 円
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保険金額135万円 |
59,630 円
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保険金額140万円 |
59,800 円
|
この例では、最大と最小の保険料の差は、年間で1,190円です。
月額に換算すると、月々100円程度の違いです。
保険金額が低いときは、特約で増額できる
車が古くなると、指定できる保険金額は低くなります。
できる範囲で目一杯高くしても、物足りないかもしれません。
そういうときは車両超過修理費用特約、車両全損超過修理費特約などという名称の特約を付加することで、金額を上乗せできます。
車両保険の補償される事故の範囲は、できるだけ広くしておきたいです。
補償される事故の範囲をせばめることによって、車両保険の保険料を安くできます。
しかし、車の修理代が心配で車両保険に入るのであれば、原因が何であれ、車が壊れたら保険金は必要なはずです。
事故の範囲をせばめるときは、慎重に判断してください。
補償される事故の範囲の設定は2タイプ
事故の範囲を制限しないタイプを一般型、制限するタイプをエコノミー型または車対車+A型などと呼びます。
もちろん、保険料が安いのはエコノミー型です。
双方の事故の範囲の違いは、下表のとおりです。
一般型 | エコノミー (車対車+A) |
|
---|---|---|
他の自動車との衝突・接触
|
○
|
○
|
火災・爆発
|
○
|
○
|
盗難
|
○
|
○
|
台風・洪水・高潮
|
○
|
○
|
落書・いたずら
|
○
|
×
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物の飛来・落下
|
○
|
×
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自転車との衝突・接触
|
○
|
×
|
電柱・ガードレール等に衝突
|
○
|
×
|
あて逃げ
|
○
|
×
|
転覆・墜落
|
○
|
×
|
×印の事故にしても、注意すれば防げるものばかりではないし、安い修理代ですむとも限りません。
免責金額は、保険料に大きく影響します。上手に使って、合理的に節約しましょう。
車両保険に免責金額を設定することで、保険料を下げることができます。
免責金額とは
免責金額というのは、修理代のうち、加入者の自己負担する金額のことです。

たとえば、免責金額を10万円にすると、修理代のうち10万円までは加入者が自分の手持ちのお金から支払います。
車両保険から出る保険金は、修理代のうち10万円を超える金額だけ、になります。
免責金額を大きくするほど、保険料は安くなる
免責金額を設定することで、保険料がどのくらい下がるか、ソニー損保の自動車保険で、実際に試してみました。
車両保険の保険金額を125万円として、免責金額をいろいろ指定したときの、自動車保険全体の年払い保険料です。
契約のタイプ | 年払保険料 | |
---|---|---|
一般型 | 免責金額ゼロ |
70,430円
|
免責金額5万円 |
59,290円
|
|
免責金額10万円 |
53,080円
|
|
エコノミー型 | 免責金額5万円 |
42,760円
|
免責金額10万円 |
40,000円
|
自動車保険の仕組みを考えると、免責金額は合理的
車両保険を使うと、次の更新のときに、原則として3等級、事故によっては1等級のダウンになります。
それにともなって、保険料は値上がりします。
そのうえに、“事故あり係数”が適用されて、3等級ダウンなら事故から3年間、1等級ダウンなら1年間、保険料が割増しされます。
つまり、更新後の保険料は、ダブルで高くなります。
ソニー損保の自動車保険で、保険料がどのくらい増えるか、見積もりシミュレーションしました。
下表は、10等級の人が3等級ダウン事故を起こすか起こさないかで、その後の年払い保険料を対比しています。
等級ダウン したとき |
等級ダウン しないとき |
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---|---|---|
事故の年
|
61,480円 (10等級)
|
61,480円
(10等級)
|
1年後
|
87,750円
(7等級)
|
59,290円
(11等級)
|
2年後
|
86,650円
(8等級)
|
57,100円
(12等級)
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3年後
|
85,560円
(9等級)
|
56,000円
(13等級)
|
4年後
|
61,480円
(10等級)
|
54,910円
(14等級)
|
この例では、等級ダウンするかしないかで、4年間で合計94,140円も差が出ました。
もちろん、等級が違うので、5年後以降もこの差は広がり続けます。
修理代が安いときほど、車両保険を使うと損になります。
免責金額の設定のやり方
ほとんどの自動車保険では、免責金額はゼロか5万円か10万円かのどれかを指定します。
そして、たいていの自動車保険では、(1年間のうちの)1回目の事故の免責金額と2回目以降の事故の免責金額を指定します。
保険料に大きく影響するのは、1回目の免責金額の設定です。
これに加えて、車対車免ゼロ特約を付けるかを判断する必要があります。
この特約は、1回目の事故の免責金額をゼロ以外にしたときに付けることができ、以下のすべてに当てはまったときに、免責金額がゼロとして扱われます。
- 保険期間中の1回目の事故。
- 他人の車との衝突・接触事故。
- 事故の相手方を特定できる。
詳しいことは、以下のページをご覧ください。
車両保険は判断することが多いです。検討されるなら、早めに検討を始めて、納得して選びましょう。
車両保険に関心をお持ちなら、早めに見積りを取ることをおすすめします。
車両保険の保険料は高いので、金額を見て、考えが大きく変わるかもしれません。
また、納得できるまでに、何度か条件設定を変えて、再見積もりをする可能性が高いです。
幸い、1回の入力で、主要な自動車保険の見積をまとめて入手できる、無料のサービスがあります。
それがこちら、
いったん見積りをした後、補償内容を変えて再見積りすることができます。このサイトの利用者は、平均して約35,000円保険料を安くしているそうです。便利で、無料です。