自動車共済とはどんなもの?自動車保険と何が違うの?どちらがおすすめ?そんな疑問にお答えします。
自動車保険について情報収集していると、ときどき“自動車共済”なるものが視界に入ってきます。
共済と聞くと、手軽とで安いというイメージがあると思います。
では、自動車共済はどうなのでしょうか?

このページでは、おもな自動車共済の仕組みやメリット・デメリットを、自動車保険との比較を通してご説明します。
自動車共済と自動車保険とで、補償やサービスの内容に、大きな違いはありません。
自動車共済と自動車保険では、販売のされ方は異なっていますが、目的や商品内容は、ほとんど同じです。
例として、共済最大手JA共済の自動車共済と、損保最大手東京海上日動の自動車保険の中身を、比べました。
補償内容を比較
自動車共済も自動車保険も、加入者全員に提供される基本補償と、加入者が選べる特約からできています。
そこで、基本補償と特約に分けて、それぞれの補償内容(保険・特約)を、比較表にまとめました。
基本補償
原則として自動セットされる補償を比較表にまとめました。
JA共済 | 東京海上日動 |
---|---|
|
|
名称の違いはありますが、中身はほとんど同じです。
特約
加入者が選べる特約を、比較表にしました。
JA共済 | 東京海上日動 |
---|---|
|
|
自動車保険の間でも、特約には差があります。そう考えると、上の2つの違いは小さいです。
サービス内容を比較
サービスは、保険や特約を補うものです。
JA共済と東京海上日動のサービスを、比較表に整理しました。
JA共済 | 東京海上日動 |
---|---|
|
|
自動車保険の間でも、サービスには差があります。そんな中で、たいていの自動車保険に標準装備されているのが、以下の2つです。
- 事故対応、示談交渉
- ロードサービス、レッカーサービス
この2つは、JA共済の方でも提供されています。
専門用語がところどころ異なる
パンフレットやウェブサイトで自動車共済の商品説明に目を通すと、“保険”という言葉はほとんど登場しません。
自動車保険で使われる用語のうち、“保険”が別の言葉に置き換えられます。たとえば・・・
- 保険料 ⇒ 掛金
- 保険金 ⇒ 共済金
- 保険契約者 ⇒ 共済契約者
- 被保険者 ⇒ 被共済者
しかも、どんな言葉に置き換えるかは、各共済の間で統一されていません。たとえば・・・
- 自動車保険 ⇒ 車両保険
- JA共済 ⇒ 車両保障
- 全労済 ⇒ 車両損害補償
となっています。
自動車共済の掛金(保険料)の相場は、代理店型より安く、ダイレクト(ネット通販)型より高めです。
自動車共済では、保険料のことを「掛金」または「共済掛金」などと呼びます。
自動車共済に限らず、共済は安いというイメージがありますが、自動車保険の相場と比較しました。
主な自動車共済の掛金を、自動車保険と比較
3つの大手の共済(教職員共済、JA共済、こくみん共済coop=全労済)の掛金を、自動車保険の保険料相場と比較しました。
車両保険なしの見積もり条件で、3つの年齢・等級の一括払い掛金(保険料)を見積もりシミュレーションしました。
これを見ると、共済の掛金は、代理店型の相場より安く、ダイレクト型の相場より高いという傾向のようです(例外はあります)。
26歳 7等級
26歳、7等級、車両保険なしの、年払い保険料です。
35歳 10等級
35歳、10等級、車両保険なしの、年払い保険料です。
45歳 14等級
45歳、14等級、車両保険なしの、年払い保険料です。
対面で手続きできて、代理店型より安い自動車共済
自動車共済では、ダイレクト型自動車保険と違って、対面で手続き(加入、更新、変更、共済金請求など)できます。それなのに、代理店型自動車保険より安いです。
ただし、下でご説明するように、顧客対応の品質そのものが高いとは限りません・・・
自動車共済の顧客対応の品質は未知数です。この点では、期待しにくいです。
自動車共済の補償・サービスの内容は、自動車保険と比べて遜色ないようです。
では、それらが提供されるとき品質はどうでしょう?
自動車共済の顧客対応に関して、口コミ情報が乏しい
自動車保険の顧客対応に関して、口コミ情報はそこそこ豊富です。信頼できそうな顧客満足度ランキングが複数あります。
しかし、残念ながら、そうした顧客満足度ランキングに、自動車共済は含まれていません。

その第一の原因は、自動車共済のシェアが低いことでしょう。
損害保険料率算出機構『自動車保険の概況』(2021年度)によると、自動車共済と自動車保険の市場シェアは下のようになっています。
自動車共済の加入者は、自動車保険の5分の1より小さいです。口コミ情報も、それだけ乏しくなります。
顧客対応が良いと思える情報はない
自動車保険と自動車共済の両方が扱われている、信頼できそうなランキングは、日本生産性本部が毎年公表しているJCSI(日本版顧客満足度指数)くらいです。

下図は、2022年度ランキングの、6部門のトップ5です(公表されるのはこれだけ)。
自動車共済で名前があるのは、こくみん共済coopだけです。それだって、とくに好評というほどではありません。
口コミ情報が乏しいからと言って、顧客満足度が低いとは限りません。しかし、前向きな情報がなければ、おすすめしにくいです。
自動車共済と自動車保険には、手続きや契約取扱い上の違いがあります。
自動車共済と自動車保険とで、違いが目につくのは、手続きとか契約取扱い(破綻したときの加入者保護など)です。
自動車共済に入るには、まず組合員になる
共済に入るには、まずどこかの協同組合のメンバーにならなければなりません。
そして、協同組合ごとに、組合員になれる条件があります。
農協や都道府県生協のように、実質的に誰でも入れる協同組合もあれば、特定の職業や地域の住民でないと入れない組合もあります。
また、組合に入るにあたって、出資金(入会金のようなもの)の拠出を求められます。
そうしたことが、保険に比べるとわずらわしく感じられるかもしれません。

共済が破綻したときに、加入者を守る組織がない
損害保険会社が破綻したら、損害保険契約者保護機構が加入者を保護してくれます。破綻した損保会社に代わって、保険金を支払ってくれます。

それに対して、共済が破綻しても、加入者を保護する組織はありません。
もっとも、JA共済や全労済のような大手の共済は、大手損保並みの規模を誇り、監督官庁も決まっているので、めったに破綻することはないでしょう。
それに対して、小規模の共済は、注意したほうが良いでしょう。
自動車保険と等級を引き継げない共済がある
損害保険会社が販売する自動車保険の間では、他社商品に乗り換えても、等級を引き継ぐことができます。
自動車共済の中にも、自動車保険と等級引継できるものはあります。それが、以下の一覧にある共済です。
- JA共済
- 全労済
- 電通共済生協
- JP共済生協
- 全国交運共済生協
- 森林労連共済
- 全たばこ生協
- 全水道共済
- 全国自動車共済(全自共)
- 北海道自動車共済協同組合
- 東北自動車共済協同組合
- 関東自動車共済協同組合
- 中部自動車共済協同組合
- 西日本自動車共済協同組合
- 全日本火災共済協同組合連合会(日火連)
等級引継できないと、他社商品に入り直したときに、6等級からの再スタートになり、保険料は高くなります。
そのことを考えると、等級引継できる商品のほうが安心です。
自動車保険の補償内容がある程度決まったら、無料の一括見積もりサービスをご利用ください。
自動車共済の掛金は、代理店型の相場より高く、ダイレクト型の相場より低い水準でした。
補償・サービス内容だけでなく、料金設定でも競合します。
自動車保険の見積もりも手に入れて、比較検討したいです。
とはいっても、複数の自動車保険の見積もりを、補償内容を同じにして作成するのは、意外と大変です。

そこで、無料の一括見積もりサービスの活用をおすすめします。
1回(1社分)の入力で、主要な自動車保険の見積もりが一気に集まります。
以下の無料の一括見積もりサービスには、全労済「マイカー共済」も参加しています。
一括で見積もりをした後、個別の商品について、見積条件を変えて再見積もりすることも可能です。
