車両保険は有用な保険ですが、入る前に知っておきたい注意点がいくつもあります。ポイントを押さえて、上手に使いこなしましょう。
自動車保険を形作る保険の中でも、次の4つがメインです。
対人賠償保険 事故の相手のため + 人の損害のため |
対物賠償保険 事故の相手のため + 車の損害のため |
人身傷害保険 こちらのため + 人の損害のため |
車両保険 こちらのため + 車の損害のため |
車両保険は、自分の車が事故で壊れたときの、修理代などを補償する保険です(相手の車の修理は対物賠償保険)。
修理代や運転に不安がある人には心強い存在ですが、仕組みが複雑で、保険料が高くなりやすい保険です。
また、よく知らないで入ると、使ったときにガッカリさせられるリスクが大きいです。

このページでは、そんな車両保険について、以下のことをご説明しています。
車両保険について、後悔しないために押さえておきたい、5つの重要ポイントをご説明します。
車両保険の使用上の注意点の中でも、とくにチェックしていただきたいのが、以下の5点です。
事故による修理が補償の対象
車両保険が補償するのは、事故で壊れた車の修理費用です。
事故というのは、偶然に外部からやってきたドラブルを指します。
機械的な不具合や、経年劣化による故障などは、補償されません。
通常の使用にともなう故障の修理代の補償が必要なら、車を購入するときに、「メーカー保証」や「ディーラー保証」をご検討ください。
ところで、「メーカー保証」や「ディーラー保証」は事故で壊れたときの修理には使えません。
よって、事故による故障にも、劣化による故障にも対応するには、車両保険とメーカーやディーラーの保証の両方で対策しなければなりません。
ちなみに、ロードサービスは、原因に関係なく、走行できなくなったら利用できます。ただし、やってくれるのは応急処置だけです。
修理代の実費が補償されるが、金額に上限がある
車両保険から出る金額は、修理代の実費です。
ただし、出る金額に上限があります。この上限額が車両保険の保険金額です。
車両保険の保険金額は、その車両の市場価格(中古車市場での取引価格)が基準になります。
その結果、次のようなことが起こります。
- 車両保険の保険金額(=上限額)は、年々小さくなっていく。
- 古い車の場合、保険金額だけでは修理できない恐れがある。
車両保険から出るのは、加入者が負担すべき金額
相手がある事故で、相手にも責任があるときは、その責任の大きさに応じて負担してもらいます。
相手の責任割合が5割なら、修理代の半額は相手に負担してもらいます。
そういうケースで車両保険から出るのは、こちらが負担する金額だけです。
車両保険は保険料が高く、かつ金額の幅が大きい
車両保険の保険料は高額になりやすく、また設定次第で金額は大きく変動します。
例として、35歳10等級の人がソニー損保の自動車保険(エコノミープラン)に入ったときの年払い保険料を、見積もりシミュレーションしました。

車両保険以外の保険料 | 40,620円 |
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車両保険の最安値 | 12,790円 |
車両保険の最高値 | 37,250円 |
この試算では、車両保険の補償を厚くすると、他の保険・特約の合計がに近い金額にまでふくれ上がっています。
車両保険を使うと、保険料が高くなる
自動車保険では、加入者の公平性のために、保険を使わない人の保険料は安くなり、保険をよく使う人の保険料は高くなる仕組みがとられています。
その仕組みが等級制度です。
車両保険を使うと、以下のルールに則って、保険料が高くなります。
- 等級が3または1ダウンして、割引率が下がる。
- 3等級ダウンのときは3年間、1等級ダウンのときは1年間、事故有係数(通常より不利な割引率)が適用される。
一度下がった等級が元にもどることはありません。
極論すると、上限の20等級に達するまで、等級ダウンのツケを払い続けることになります。
もしものときのために高い保険料を払うのに、保険を使ったらさらに負担が重くなるんですね・・・
世間の人たちはどんな入り方、使い方をしているのか?車両保険加入の相場を調べました。
他の人たちは、どのくらい車両保険に入っているのでしょうか?
信頼できる統計データをもとに分析しました。
車両保険加入の相場
損害保険料率算出機構『自動車保険の概況』(2020年度)によると、車種別の加入状況は以下のとおりです。
なお、この表の数字は、自動車保険に入っている人の中での、車両保険の加入率です。
自家用普通乗用車 | 73.4% |
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自家用小型乗用車 | 63.7% |
自家用普通貨物車 | 42.4% |
自家用小型貨物車 | 49.1% |
軽四輪乗用車 | 60.0% |
軽四輪貨物車 | 32.6% |
営業用乗用車 | 11.8% |
営業用普通貨物車 | 28.3% |
営業用小型貨物車 | 27.3% |
自家用の乗用車の加入率が高いようです。
車両保険から支払われた保険金の相場
続いて、車種別の保険金額を調べました。
自家用普通乗用車 | ¥369,671 |
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自家用小型乗用車 | ¥261,373 |
自家用普通貨物車 | ¥382,184 |
自家用小型貨物車 | ¥233,268 |
軽四輪乗用車 | ¥265,299 |
軽四輪貨物車 | ¥195,353 |
営業用乗用車 | ¥248,617 |
営業用普通貨物車 | ¥685,995 |
営業用小型貨物車 | ¥309,655 |
修理代がこの表の金額くらいになったときに、車両保険なしで乗り切れるそうかが、一つの判断基準になりそうです。
上の金額には、車両保険を使わなかった人の修理代は含まれていません。
実際の修理代は、上表の金額よりもっと小さくなります。
車両保険に入るときは、指定する項目が多いです。早めに検討を始めて、納得して選びましょう。
次の2つに当てはまるなら、車両保険を前向きにご検討ください。
- 車は生活必需品なので、壊れたらすぐに直して使えるようにしなければならない。
- 修理代が20万円を超えると、大きな負担に思える。
ただし、上でご説明したように、車両保険の保険料は設定によって大きく変動します。補償内容を決めるのに時間がかかりがちな保険です。
早い段階で見積もりをとり、実際の金額を見ながら、納得できるまでシミュレーションを重ねてください。
幸い、1回の入力で、主要な自動車保険の見積をまとめて入手できる、無料のサービスがあります。
それがこちら、
いったん見積りをした後、補償内容を変えて再見積りすることができます。このサイトの利用者は、平均して約35,000円保険料を安くしているそうです。便利で、無料です。