1ナンバー車(普通貨物車)の、保険料相場をご案内します。
このページでは、自家用の1ナンバー車(普通貨物車)の、自動車保険の相場や、加入にあたってご注意いただきたいことなどを解説しています。
1ナンバー車は、普通貨物車です。ナンバープレートと車検証で確認できます。
1ナンバー車はこんな車
1ナンバー車は、ナンバープレートに記載される3ケタの分類番号のうち、1桁目が1になっている車両を指します。
また、車検証では、下図のように、《自動車の種別》が「普通」、《用途》が「貨物」と印字されています。
具体的には、以下のような特徴があります。
- サイズが「全長4.70m」「全幅1.70m」「全高2.00m」「排気量2,000cc」のいずれかを超えること
- 乗員用スペースより荷室のほうが大きいこと。
- 乗員用スペースと荷室が仕切られていて、行き来できないこと。
他の貨物自動車
自家用での貨物自動車としては、他に4ナンバー車があります。
ナンバープレート | 意味 |
---|---|
小型貨物車。全長4.7m未満、全幅1.7m未満、全高2.0m未満、排気量2,000cc未満(ディーゼルは制限無)の貨物車。 | |
軽貨物車。全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下、排気量660cc以下、最大積載量350kg以下。 |
3ナンバーに相当するサイズ
1ナンバーは貨物車ですが、サイズの点では白い3ナンバー車(普通乗用車)に相当します。
そのため、3ナンバー車を合法的に改造して1ナンバー車にする、という車好きの方々も少なくないようです。
1ナンバーと3ナンバーのコスト面での違いは以下のとおりです。
- 1ナンバーの方が自動車税と重量税が安くなる。
- 1ナンバーは、2回目の車検から、毎年車検を通さなければならない。
- 1ナンバーの方が、高速道路料金が高い。
- 1ナンバーの方が、自動車保険の保険料が高い。
一つ一つを比較すると1ナンバーのほうが高くなるものもいくつかあります。
それでも、節税効果が大きいので、通常は1ナンバーのほうが安くなりやすいです。
自動車保険によっては、改造車は申し込みできません(とくにダイレクト型)。
合法な改造でも断られるので、ご注意ください。
1ナンバー車が、どんな補償内容で自動車保険に入っているかを調べました。
損害保険料率算出機構の統計資料『自動車保険の概況』(2023年4月発行)にて、1ナンバー(普通貨物車)の加入状況を調べました。
1ナンバーの自動車保険加入率
登録されている車両のうち、自動車保険に加入している割合は、グラフのとおりでした。
なお、下のグラフには、自動車共済は含まれていません(データがないため)。ですので、実際の加入率はもっと高いです。
自動車共済を含めると、両者の差は縮まるかもしれません。
だとしても、1ナンバー(普通貨物車)の保険加入率は高いです。
各保険ごとの加入率
続いて、1ナンバー車の保険ごとの加入率をご覧ください。
%の数字は、自動車保険に加入している人のうち、各保険に入っている人の割合です。
保険 | 加入率 (1ナンバー) |
加入率 (全体平均) |
---|---|---|
対人賠償保険 | 99.8% | 99.7% |
対物賠償保険 | 99.5% | 99.7% |
人身傷害保険 | 88.9% | 92.8% |
車両保険 | 46.8% | 60.1% |
対人賠償保険と対物賠償保険の加入率は、全体平均と同じく100%近いです。
一方、人身傷害保険と車両保険の加入率は、全体平均より低くなっています。とくに車両保険は目に見えて低いです。
1ナンバー車の自動車保険(任意保険)の保険料相場を調べました。
統計データに基づく保険料相場
『自動車保険の概況』によると、最近の普通貨物車の保険料全国平均は下のとおりです。
用途・車種 | 年間保険料 | ||
---|---|---|---|
2021年 | 2020年 | 2019年 | |
普通貨物車 (白1) |
81,818 | 82,628 | 81,205 |
【参考】普通乗用車 (白3) |
73,405 | 74,439 | 73,600 |
1ナンバー車(普通貨物車)のほうが高いです。
もっとも、上の金額は、見積もり条件や補償内容の違いを考慮していません。そこで、実際の商品で、条件をそろえて比較しました。
保険料シミュレーション
トヨタのハイエースの、1ナンバー仕様(TRH211K)と3ナンバー仕様(TRH214W)の保険料を、代理店型自動車保険とダイレクト型自動車保険に分けて比較しました。
代理店型自動車保険
損保ジャパンの自動車保険で、35歳15等級の保険料をシミュレーションしました。車両保険なしと車両保険ありの2パターンで比較しました。
車両保険があってもなくても、1ナンバーの方が高くなりました。
ただし、このシミュレーションでは、その差は年に1万円以内なので、極端に大きくはありません。
ダイレクト型自動車保険
次に、イーデザイン損保の自動車保険で、上と同じように保険料を比較しました。
代理店型の損保ジャパンと同じ傾向がみられます。
しかも、保険料そのものが安いこともあって、1ナンバーと3ナンバーとの差はさらに小さくなっています。
下で解説しているように、ダイレクト型自動車保険の中には、1ナンバー車の引き受けを制限しているものや、実質引き受けないものが多数あります。
自賠責保険の保険料
自賠責保険(強制保険)の保険料も、1ナンバーと3ナンバーとでは異なります。
1ナンバーは毎年車検、3ナンバーは2年毎の車検と、車検のタイミングが違うので、12ヶ月あたりの金額を比較しました(2023年度)。
車種 | 保険料 |
---|---|
1ナンバー車(最大積載量2t超) | 18,230円 |
1ナンバー車(最大積載量2t以下) | 16,900円 |
3ナンバーの普通乗用車 | 11,500円 |
こちらも1ナンバーの方が高いです。
1ナンバー車は、ダイレクト(ネット通販)型自動車保険に入りにくいです。
1ナンバー車は、代理店型自動車保険にはスムーズに入れますが、ダイレクト型自動車保険の場合、すんなりと加入できないことが多いです。
知らないとつまづきやすいケースを、以下で説明します。
最大積載量による申込制限
ダイレクト型自動車保険は、1ナンバー車の最大積載量に応じて、次の4タイプのいずれかの対応をしています。
- 最大積載量2.0トン超は申込不可。
- 最大積載量0.5トン超は申込不可。
- 1ナンバー車は電話申込(インターネット割引なし)。
- 1ナンバー車は申込不可。
2023年7月時点での、おもなダイレクト損保の対応状況は、下表のとおりです。
アクサダイレクト | 最大積載量2.0トン超不可 |
---|---|
イーデザイン損保 | 最大積載量2.0トン超不可 |
SBI損保 | 申込不可 |
セコム損保 | 最大積載量0.5トン超不可 |
セゾン自動車火災 | 電話申込のみ&最大積載量2.0トン超不可 |
ソニー損保 | 電話申込のみ&最大積載量2.0トン超不可 |
チューリッヒ保険 | 最大積載量2.0トン超不可 |
三井ダイレクト損保 | 申込不可 |
楽天損保 | 最大積載量2.0トン超不可 |
なお、ルール上はネットで見積もり・申し込みを受け付けることになっていても、実際にやってみると、電話による問い合わせに誘導されることがときどきあります。
インターネット以外の方法で見積もり・申し込みすると、インターネット割引が適用されません。
この割引の大きさは、年間に1万円前後になるものが多いです(商品により異なります)。影響は大きいです。
ダンプ装置付き車両はお断り
ダンプ装置とは、荷台を押し上げ、後方または側方へ傾ける装置のことです。
下図の赤丸で囲まれた部分を指します。
車検証でも確認できます。紙面の右上に、下図のように印字されています。
ダンプ装置付きは、1ナンバー車だけでなく、それ以外(4ナンバー車=小型貨物車など)でも、ほとんど断られます。
改造車は合法でもウェブ見積もり・申込お断り
合法的に3ナンバー車を改造して、1ナンバーに変更することができます(方法は下で説明しています)。
車検を通すと、車検証に「改」の文字が付記されて、備考欄に改造内容が書き込まれます。
このような合法的な改造車は、代理店型はもちろん、ダイレクト型自動車保険にも加入できます。
ただし、ウェブ見積もり・申込できないことが多いです。その場合、電話申込になります(インターネット割引なし)。
自動車保険の検討段階では、「改」がないつもりで各社の見積もりを集めて比較し、候補を絞り込んだうえで、損保会社に電話問い合わせしましょう。
なお、電話申込のときは、インターネット割引が適用されません。
法人契約が可能なダイレクト型は少数
法人が契約者になって加入できるダイレクト型自動車保険は限られています。
現在、1ナンバー車の法人契約が可能なダイレクト型は、以下の会社です。
- ソニー損保
- チューリッヒ保険
加入にあたって、それぞれ細かな条件があるので、詳細は直接お問い合わせください。
セコム損保と楽天損保は、代理店による保険販売もおこなっています。代理店経由で加入するのであれば、法人契約は可能です。
ただし、保険料も代理店価格になるので、メリットは乏しくなります。
SBI損保も法人契約を扱っていますが、あいにくと1ナンバー車の申し込みを受け付けていません。
自動車保険の見積もりを集めて、比較して選びましょう。無料一括見積もりサービスが役に立ちます。
自動車保険は、見積もり条件(年齢、等級、車種、使用目的、走行距離など)が変わると、保険料が大きく変動します。
主な保険商品の見積もりをとって、比較して選ぶことをおすすめします。
とは言え、たくさんの自動車保険の見積もりを集めるだけでも、それなりの時間と負担がかかります。
そこでおすすめしたいのが、無料の自動車保険一括見積もりサービスです。
1回の入力で、主要な自動車保険の見積もりが、一気にお手元にそろいます。
いったん見積もりをそろえた後で、条件設定を変えての再見積もりも簡単にできます。
こちらのサービスの利用車は、平均して、保険料を年間35,000円安くしているそうです。
自家用の1ナンバー車の代表的なモデルというと、ハイエース、ハイラックスなどです。
1ナンバー車のイメージがわきにくいかもしれないので、代表的なモデルをご紹介します。
ハイエース
トヨタのワンボックスカー。
ボディサイズは2段階あり、「標準タイプ」は4ナンバー、「ワイドタイプ」が1ナンバーです。
1ナンバーと4ナンバーの維持費を比べると、自賠責保険、自動車保険、高速料金は、1ナンバーのほうが高くなります。
一方、自動車税と重量税は、1ナンバーも4ナンバーも同額です。
ハイラックス
トヨタのピックアップトラックです。
ピックアップトラックの特徴は、乗用スペースの後ろに屋根のない荷台がある形状です。
ハイラックスは、現役で販売されている唯一のピックアップトラックです。
ランドクルーザーなどを1ナンバー化する
トヨタのランドクルーザーは3ナンバー(普通乗用車)ですが、この車の愛好者の中には、維持費を下げるために、合法的に改造を施して1ナンバーにする方々がいらっしゃいます。
乗用車を貨物車にするために、たいていは以下のような2つの改造がおこなわれます。
- 3列目のシートを取り外す(3列シート車の場合)。
- 2列目のシートのリクライニングをできなくする。
通常、このくらいの構造変更であれば、違法にはなりません。車検を通すこともできます。
3ナンバー車を1ナンバー化することのメリット・デメリットは次のとおりです。
- 自動車税、重量税は安くなる。
- 自賠責は高くなる。
- 任意保険は高くなる可能性が高い。
- 高速料金は高くなる。
- 1ナンバー車は毎年車検。
項目数で言えば、デメリットのほうが多いです。
ただし、維持費トータルで比べると、ほとんどの場合1ナンバー車のほうが安くなります。節税効果は、それほど大きいです。
車検証に「改」が記載されていると、たいていのダイレクト型自動車保険では、ネット見積り・申込みはできません。
電話申込はできます。ただし、インターネット割引を受けられません。