自動車保険の標準的な補償プランをご案内します。これを出発点にして、ご自分の補償を設計してください。
売れている自動車保険の、標準的なおすすめプランをもとに、検討の出発点にしていただきたい補償内容をまとめました。
代理店型とダイレクト型の、それぞれ最も売れている自動車保険の標準プランを調べました。
2021年度、代理店型の売り上げトップ、東京海上日動と、ダイレクト型の売り上げトップ、ソニー損保の標準的なプランを調べました(2023年1月現在)。
ただし、ほとんどの商品で自動セットされる補償・サービスは省略しています。
下表の●はセットされる補償、×はセットされない補償、▲は任意(加入者の意向が最優先)の補償です。
補償・サービス | 東京海上日動 | ソニー損保 |
---|---|---|
対人賠償保険 | ● | ● |
対物賠償保険 | ● | ● |
対物超過修理費用特約 | 対物超過修理費用として保険に含まれる | |
人身傷害保険 | ● | ● |
保険金額3,000万円、搭乗中の事故のみ補償。 | 保険金額3,000万円、搭乗中の事故のみ補償。 | |
搭乗者傷害保険 | × | × |
人身傷害保険の傷害一時費用保険金になっている。 | ||
車両保険 | ▲ | ▲ |
車両全損時諸費用補償特約、レンタカー費用等補償特約 | ||
その他の補償・サービス | 弁護士費用特約(自動車事故型)、無過失事故に関する特約 | セコム事故現場かけつけサービス |
対人賠償保険、対物賠償保険、人身傷害保険、搭乗者傷害保険の4つの保険では、ほとんど差がありません。
違いがあるのは、上の4つ以外の、特約やサービスのようです。
この2社のおすすめプランは、予想以上に共通点が多いですね。
補償プランを検討するときに、判断が分かれそうなポイントについて、解説します。
上の2社の標準おすすめプランを前提にして、補償プランを検討するときに、判断が分かれそうなポイントについて、解説します。
対人賠償保険
他人の身体に損害を与えたときに、損害賠償するための保険です。
まず自賠責保険(強制保険)で損害賠償されて、それでは足りないときに、対人賠償保険が使われます。
お勧めの補償
必須の補償です。保険金は無制限にしてください。
補足説明
個人向け自動車保険の多くで自動セットされており、保険金額も「無制限」一択になっています。

対物賠償保険
他人の所有物に損害を与えたときに、損害賠償するための保険です。
なお、このタイプの損害賠償には、自賠責保険(強制保険)は使えません。
お勧めの補償
必須の補償です。保険金は無制限にしてください。
補足説明
対物超過特約を付加するかが、判断のポイントになります。
相手に損害賠償するとき、法律上は、その所有物の時価相当額(中古市場での取引価格)が上限になります。
そのため、ときどき、次のようにことが起こります。
このとき、保険金で足りない金額は、相手方が負担することになります。それで法律的には筋が通ります。しかし、相手が不満を持つ可能性は高いです。
対物超過特約をつけておくと、対物賠償保険の保険金が上乗せされます(ほとんどの商品は50万円上乗せ)。
つまりこの特約は、法律上の義務はないけれど、トラブル回避に役立ちます。
人身傷害保険
こちら(加入者とその家族、同乗者)の心身の損害を埋めるための保険です。
お勧めの補償
加入する車に搭乗中の事故のみの補償。保険金額は、指定できる最低金額(2,000〜3,000万円)。
生命保険、医療保険、傷害総合保険などに加入していれば、人身傷害保険は必要とは限りません。
ただし、半数以上の自動車保険が、この保険を自動付帯にしています。
あるものとして受け入れて、必要最小限の補償内容にとどめるのが、現実的です。
実際、上の東京海上日動やソニー損保の標準お勧めプランでも、そうなっています。

補足説明
こちらの身体の損害を補償する保険には、他に搭乗者傷害保険があります。人身傷害保険より古い保険で、機能の面では劣ります。
現在では、上の東京海上日動のように、➊搭乗者傷害保険を人身傷害保険の中に吸収させるタイプと、上のソニー損保のように、➋搭乗者傷害保険と人身傷害保険の両方があるタイプとに、わかれています。
ただし、実質的には同じことが多いです。
車両保険
こちらの車の修理代・買い替え費用を埋め合わせるための保険です。
お勧めの補償
この保険が必要かは、車の使い方や、手持ち資金とのバランスでご判断ください。車が生活必需品で、修理代の負担に不安がある方は、前向きにご検討ください。
加入されるときは、一般条件(すべての事故を補償する)をお勧めします。
補足説明
車両保険は保険料が高くなりやすいため、金額を下げるための設定項目が、数多く用意されています。
保険金額 | 本来は、車のグレードやオプション装備などに合わせて金額を増減する。ただし、金額を高くしても、保険料はそれほど上がらないので、余裕があれば高めに設定する。 |
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免責金額 | 車両保険を使うときでも、指定した金額までは自己負担になる。この金額を高く設定するほど、保険料は安くなる。 |
車対車免ゼロ特約 | 付加しない |
特約など | 必ずつけたい特約はない。ご自分のニーズで判断してください。 |

その他の特約
必ずつけたい特約はありません。
損害保険会社のお勧めプランで、推されることが多いのは、次の特約です。
- 弁護士特約
- 個人賠償(日常生活賠償)特約
保険料を節約したい方々に、とくに注目していただきたいポイントをまとめました。
対物賠償保険
免責金額を設定できる商品があります。
免責金額を設定すると、保険を使うときでも、その金額までは自腹になります。
金額を高く設定するほど、保険料は下がります。
保険金額を無制限以外に指定できる商品もあります。しかし、そうすることは、お勧めできません。
万が一、損害が高額になったら、こちらの生活が破綻するかもしれません。
人身傷害保険
現在販売されている自動車保険の大半は、この保険を自動セットしています。
しかし、例外的に、次のような商品があります。
- つけるかを加入者が決められる商品(イーデザイン損保旧商品、SBI損保、三井ダイレクト損保など)
- 人身傷害保険か搭乗者傷害保険かを選べる商品(アクサダイレクト、セコム損保など)
人身傷害保険が不要なら、こうした商品を選ぶことで、保険料を節約できます。
ロードサービス
ほとんどの自動車保険で、ロードサービスは自動セットされます。
例外的に、次の商品では、ロードサービスを付けるかを加入者が選べます。
- セゾン自動車火災「おとなの自動車保険」
- チューリッヒ保険「ネット専用自動車保険」
補償プランは、保険料を比較しながら検討するのが、効率的です。
まず補償プランを決めてから、保険料を比較する、という検討の進め方もあります。
ただ現実には、予算の都合で、補償プランを見直すことはよくあります。
次のような検討の進め方をお勧めします。
以下の無料の一括見積もりサービスは、損害保険各社と連携しているので、候補を絞り込んだ後で、それぞれの商品のウェイブサイトにて、さらに細かくシミュレーションできます。
このサービスの利用者は、平均して保険料を年間約35,000円節約されているそうです。