30代の軽自動車の保険料相場を、ご案内します。新規加入や見直しの参考になさってください。
自動車保険の仕組みは、軽自動車でも、普通車や小型車でも同じです。
とは言え、軽自動車には、事故の発生率が低く、損害が大きくなりにくいという特徴があります。そのため、具体的に比較すると、普通車・小型車とは傾向が異なることがあります。
そうした点を中心に解説します。
30代の軽自動車オーナーが自動車保険に入るときの傾向
30代の軽自動車オーナーが自動車保険に入るときに、共通して起こりそうなこと、感じそうなことを解説します。
普通車・小型車より保険料が安い
自動車保険の保険料は、事故が起こりやすく、損害が大きくなりやすいほど、高くなります。
軽自動車は、普通車(白3ナンバー)や小型車(白5または7ナンバー)より、保険料が安くなりやすいです。
東京海上日動の自動車保険で、見積もり条件を同じにして(35歳10等級・車両保険なし)、軽自動車と小型車の年払保険料を比較しました。
小型車 | 53,110円 |
---|---|
軽自動車 | 37,880円 |
軽自動車は、事故が起こりにくく、損害が大きくなりにくいと受けとめられているようです。
ダイレクト型の方が安いけれど・・・
自動車保険は、代理店型とダイレクト型の2つのタイプに分けられます。保険料はダイレクト型のほうが安くなります。
35歳10等級(車両保険なし)の保険料相場を比較したのが下の表です。
代理店型 | 36,310円 |
---|---|
ダイレクト型 | 26,760円 |
シンプルな補償ブランでの比較なので、金額自体は大きくないですが、あきらかな差があります。
30代から保険料は安くなる
『運転免許統計』(警察庁)によると、2021年の年代別交通事故発生率はグラフのようになっています。
自動車保険に加入するときには、年齢条件を指定するように求められます。この指定が、上のグラフに対応しています。
- 《年齢条件》
- 全年齢
- 21歳以上
- 26歳以上
- 30歳(または35歳)以上
30代の〔年齢条件〕は、「30歳以上」とする商品(おもにダイレクト型)と「35歳以上」とする商品(おもに代理店型)とにわかれています。
下のグラフは、東京海上日動(代理店型)とイーデザイン損保(ダイレクト型)の、30~39歳の保険料の変化をシミュレーションしたものです。等級を15に固定し、年齢と年齢条件だけを変化させました。
代理店型の東京海上日動は、〔年齢条件〕の区分が変わる35歳が保険料の変わり目になっています。
ちなみに、30〜34歳の5年間と35〜39歳の5年間は、金額は一定でした。
他方、ダイレクト型のイーデザイン損保は、30代の〔年齢条件〕は「30歳以上」しかないので、ご覧のように10年間ほとんど変化していません。
細かく見ていくと、30〜34歳の5年間は同額で、35〜39歳からは毎年数十円程度上がっています。
おもに運転する人(=記名被保険者)が30代でも、〔年齢条件〕で「全年齢」「21歳以上」「26歳以上」を指定すると、上のグラフより高くなります。
軽自動車は死亡・ケガのリスクが高い
補償プランを検討するときに軽自動車のオーナーに意識してほしいのが、普通車・小型車よりこちらの死亡・ケガが発生しやすいことです。
下表は、人身傷害保険の保険金支払い発生率と1件当たりの保険金額の比較です(損害保険料率算出機構『自動車保険の現況』より)。
車の種類 | 発生率 | 保険金額 |
---|---|---|
軽乗用車 | 0.59% | 44万2900円 |
普通乗用車 | 0.46% | 40万4700円 |
小型乗用車 | 0.49% | 44万2400円 |
とくに警戒したいのは、保険金支払いの発生率です。数値そのものは小さいですが、軽自動車の方が損害の発生率は高いです。
ちなみに、こうした損害は人身傷害保険や搭乗者傷害保険の守備範囲です。
自動車保険の保険料を下げるためにできることは?
30代になると事故発生率が低くなるので、年齢の面では保険料は安くなります。
もちろん、年齢以外のことも保険料を左右するので、それらを見直すことで、安くできる可能性があります。
補償プランをシンプルに
自動車保険の基本的な仕組みは、業界内で統一されています。どの商品を選んでも、補償プランは似たものになります。
補償プランの面で、保険料を下げるためにもっとも効果があるのは、車両保険を付けないことです。
また、車両保険を付けるにしても、この保険は指定する項目が多く、どう指定するかで保険料が大きく上下するので、しっかりシミュレーションしたいです。
- 車両保険の相場
- 新車は車両保険に入った方が良いのか?
- 車両保険をつけるか、つけないか
- 車両保険の補償内容を決める
- 車両保険の安くする(1) 補償範囲を限定する
- 車両保険の安くする(2) 免責金額を設定する
保険料が安くなる車の使い方
自動車保険に入るときは、補償プランとは別に、運転する人や車の使い方などを指定します。たとえば、次のものがあります。
- 《見積もり条件》
- 等級
- 運転する人の範囲
- 年齢条件と、おもに運転する人の生年月日
- 車の使用目的、年間走行距離
- 車を使うエリア
これらは保険料に影響する重要項目なので、正確に申告しなければなりません。
ただし、保険料が安くなるように、車の使い方を見直すことはできます。たとえば、以下のことはわりと実践しやすいかもしれません。
- 運転者を自分だけ、もしくは夫婦だけにする。
- 車のおもな使用目的を、買い物・送迎・レジャーにする。
- 年間走行距離を可能な限り短くする。
運転するのを自分だけにすると、「運転する人の範囲」を“本人限定”、「年齢条件」を“30歳(または35歳)以上”に指定することになりますよね。
等級を下げないように努める
事故を起こして自動車保険を使うと、次の更新のときに3等級または1等級ダウンして、保険料が値上がりします。
下表は、1〜11等級の割引(割増)率です。等級ダウンすると、次の更新のときに、等級が下がるだけでなく、「事故あり割引(割増)率」が適用されます。
等級 | 事故なし 割引(割増)率 |
事故あり 割引(割増)率 |
---|---|---|
11等級 | -48% | -20% |
10等級 | -46% | -19% |
9等級 | -44% | -18% |
8等級 | -38% | -15% |
7等級 | -27% | -14% |
6等級 | -13% | |
5等級 | -2% | |
4等級 | +7% | |
3等級 | +38% | |
2等級 | +63% | |
1等級 | +108% |
保険料のことを考えると、せめて11等級になるくらいまでは、できるだけ保険を使わないで、ストレートに等級を上げていきたいですね。
保険料が安くなりやすい車とは?
これから車を手に入れるなら、保険料が安くなりやすいモデルを選ぶことで、維持費を多少節約できます。
自動車保険では、車の型式(車検証に記載)ごとに、保険料のランクが決められています。このランクのことを、型式別料率クラスと呼びます。
型式別料率クラスは、自動車保険を構成する4つの保険ごとに、それぞれ1〜3の範囲で決められていて、数字が小さいほど保険料は安くなります。
たとえば、ダイハツのタント(型式LA650S)の型式別料率クラスは下のとおりです。
保険 | 料率クラス |
---|---|
対人賠償保険 | 1 |
対物賠償保険 | 1 |
人身傷害保険 | 1 |
車両保険 | 1 |
4つの保険とも、最も安い1でした。保険料の割安感という意味では、優秀な車と言えます。
ソニー損保の自動車保険に、「35歳+15等級+車両保険なしの標準プラン」で加入したときの年払い保険料を、シミュレーションしました。
料率クラスがすべて3 | 30,330円 |
---|---|
料率クラスがすべて1 | 25,640円 |
この見積もりでは、年に5千円くらいの差になりました。そんなに大きな金額ではありませんが、受けることができる補償・サービスはまったく同じですから、できれば節約したいです。
以下のサイトで料率クラスを調べることができます。
保険料を節約するなら、候補に加えていただきたい自動車保険。
保険料の安さでお勧め
自動車保険選びの判断基準は色々ありますが、ここでは、コストパフォーマンスの高さ重視で、候補に加えていただきたい商品をピックアップしました。
- SBI損保
- セコム損保
- セゾン自動車火災「おとなの自動車保険」
- ソニー損保(安全運転でキャッシュバックプラン)
- チューリッヒ「ネット専用自動車保険」
以下で補足説明します。
SBI損保
ネット金融事業を幅広く展開するSBIグループの損害保険会社です。
ほとんどの見積もり条件で、ダイレクト型の中でも安定して安くなります。
ただし、事故対応は不評です。
セコム損保
国内最大の警備保障会社セコムのグループ会社です。
もとの価格設定も相場より安いのですが、補償をけずることで、他社より保険料を安くできます。
ただし、自動車保険の売上高はとても小さくて、口コミ情報が少ないです。不安があります。
セゾン自動車火災『おとなの自動車保険』
業界2位損保ジャパンと同じグループのダイレクト損保です。
30代以上の保険料は、ダイレクト型の平均より少し安くなります。
ただし、年間走行距離が長い等、事故発生率を押し上げる要因がある人は、期待ほど安くならないかも・・・
ダイレクト損保の中で顧客対応・事故対応の評判は良いです。
ソニー損保
ソニー損保の標準プランは割高感が高いです。しかし「安全運転でキャッシュバックプラン」なら、ダイレクト型の相場より安い保険料を期待できます。
そうなるためには、いくつかの条件をクリアしなければなりませんが、ハードルは低いです。
ソニー損保の魅力は、業界トップクラスの評判です。高い品質を期待できます。
チューリッヒ保険
スイスに本拠を置く世界的な保険会社です。
2つの個人向け自動車保険を販売しています。「スーパー自動車保険」と「ネット専用自動車保険」の2つです。
ここでお勧めするのは、格安商品である「ネット専用自動車保険」の方です。
業界トップクラスの安さと引き換えに、契約取扱い上の制約がいくつかあります。とくに重要と思われるものを下にまとめました。
- 加入できるのは21歳~79歳までの個人。
- 申し込み手続きはインターネットのみ(電話、郵送は不可)。
- 保険料払込はクレジットカード一括払いのみ。
- 更新は自動(こちらが事前に拒否を伝えなければ自動更新)。
補償・サービスに、これと言えるような“売り”はありませんが、一通りのものはそろっています。
この商品に限りませんが、チューリッヒ保険は顧客対応・事故対応の品質に難があります。
苦情の発生率も解約の発生率も、目立って高いです。
更新で大きく値上がりする商品に注意!
ダイレクト型自動車保険の大半はインターネット割引をおこなっています。
インターネット割引の中身は商品によって異なりますが、次のような共通する特徴があります。
- 他の割引より、割引額がかなり大きい。
- 割引額は、2年目以降ダウンする(ダウンの大きさは商品による)。
こういう仕組みであるため、商品によっては、2年目に大きく値上がりして、驚かされることがあります。
下のグラフは、セゾン自動車火災「おとなの自動車保険」とチューリッヒ「スーパー自動車保険」(お勧めしているのとは別の方)の保険料比較です。35歳10等級でスタートし、無事故で2回更新したときの保険料推移です(年払い保険料)。
1年目からセゾン自動車火災の方が安いですが、この時点では差は小さいです。
ところが、2年目、3年目と差が開いています。こんなことが起きるのはインターネット割引のせいです。
2つのインターネット割引は、下表のように変化します。
会社 | 1年目 | 2年目 | 3年目 |
---|---|---|---|
セゾン | 13,000円 | 10,000円 | |
チューリッヒ | 10,000円 | 4,000円 | 1,500円 |
セゾン自動車火災「おとなの自動車保険」は2年目から、チューリッヒ「スーパー自動車保険」は3年目以降、割引額は固定になります。複数年続けるつもりで加入するなら、3年目の保険料がカギになります。
セゾン自動車火災「おとなの自動車保険」のインターネット割引は、金額が固定です。
一方、チューリッヒ「スーパー自動車保険」の割引額は、元の保険料の金額によって変動します。
無料の一括見積もりサービスであれば、1回入力するだけで、主な自動車保険の見積もりが手元にそろいます。
損害保険会社のホームページにいくと、どこも見積もりができるようになっています。それぞれに、わかりやすく、操作しやすいように作られています。
しかし、複数の自動車保険の見積もりを、ひとつひとつ条件をそろえて実施するのは、なかなか手間と時間がかかります。
そこで、無料の一括見積もりサービスです。1回入力すれば、主要な自動車保険の見積もりが一通りお手元に集まります。時間と労力の節約効果は、想像以上です。
このサービスの利用者は、平均して保険料を年間約35,000円節約されているそうです。