事故現場に駆けつけて支援してくれるサービスが増えています。その必要性や各社の対応状況をご案内します。
車が走行できなくなったときに、駆けつけて応急処置してくれるのはロードサービス。
それとは別に、自動車事故の現場に駆けつけて、現場対応をサポートしてくれるサービスが、少しずつ広がっています。

どんなサービスが提供されるのか?サービス費用や保険料はどうなっているのか?どの自動車保険が提供しているのか?
そんな気になるポイントを、ご説明します。
現場急行(駆けつけ)サービスのサービス内容は画期的で、デメリットはありませんが、いくつか制限があります。
複数の損害保険会社がこのサービスを提供していますが、サービス内容はどこもほとんど同じです。
現場急行(駆けつけ)サービスのサービス内容
例として、ソニー損保の利用規約から、サービスメニューを抜き出しました。
- 事故対応についてのリーフレットの交付と概要説明
- 救急車の手配
- 警察への連絡
- レッカーやタクシーの手配
- 事故状況の確認
- 事故現場や車両などの損傷物の写真撮影(一部地域を除く)
- 事故の相手方からの聴取
- お困りの点をヒアリング
- 収集した情報を損害保険会社に報告
ちなみに、救急車への同乗とか、事故現場での交通誘導とか、事故車両の移動、金銭の貸与とかはやってくれません。
事故現場でやらなければならないことのほとんどを支援・代行してくれるようです。
駆けつけるのは大手警備保障会社の警備員
事故現場に来てくれるのは、損害保険会社の社員ではなく、警備保障会社の警備員です。
具体的には、業界トップのセコムと2位のALSOKの警備員が駆けつけてくれます。


保険の専門家ではない警備員でだいじょうぶなのか!?
と思われるかもしれません。
しかし、保険の専門家であっても、事故状況の調査が終わり、損害の大きさがはっきりしたいうちは、具体的な行動(相手との示談交渉)を起こせません。
来るのが保険会社の社員だろうと警備員だろうと、その場でできることは大差ありません。
サービスの利用料は保険料を通じて負担
どの自動車保険のこのサービスを利用しても、個別に利用料を請求されることはありません。
ということは、保険料の中にこのサービスの利用料があらかじめ含まれています。
サービス利用上の制限
このサービスには、利用上の制限がありますが、とくに注意したいのは以下です。
- 市街地以外だと、サービスを受けられないことがある。
- 警備員が到着するまでに時間がかかる。
- 警備員が現場に滞在できる時間は限られる。
補足説明します。
到着までにかかる時間は、市街地なら30分以内
警備保障会社は全国に出動拠点を設けており(2021年現在で、セコムは約2,700ヶ所、ALSOKは約2,400ヶ所)、24時間365日、出動要請に応じてくれます。
とは言え、もともと警備保障会社の活動範囲はオフィスや住宅がある市街地中心です。
事故の発生場所によっては、駆けつけられないか、駆けつけるのに時間がかかり過ぎて、待ちきれないかもしれません(事故の相手がそれまで待ってくれない場合など)。
ちなみに、市街地であれば30分以内が目安のようです。

事故現場での対応は約15分
駆けつけた警備員が事故現場にいる時間は、15分程度のようです。
現場対応が終わるまで立ち会い、手伝ってくれるわけではありません。
おそらく、損害保険会社に報告するために必要な情報を収集したら、後は助言をしてくれたり、質問に答えるくらいで時間を使い切ってしまいそうです。
現場急行(駆けつけ)サービスは便利ですが、必須というほどではありません。有用性の大きさは人によります。
このサービスが登場したのはつい最近のことで、それまでは加入者が自分で現場対応をしていました。
このサービスがなくても・・・
- 事故現場から損保会社に電話すれば、やるべきことを指示してくれる。
- 現場検証に来た警察官も(保険を使うときは、現場検証必須です)、多少は助言してくれる。
ですから、初心者でも一人で現場対応はできますし、経験者であれば、むしろ警備員を待つ時間がじれったいかもしれません。

とは言え、事故のときは気持ちが動転しがちだし、相手がどんな人かわかりません。そういうことに大きな不安を感じる方々には、値打ちのあるサービスです。
このサービスを利用しても料金は発生しません。サービスの運営費用は、あらかじめ保険料に含まれています。
だからと言って、このサービスを提供する自動車保険が、他より目に見えて高額ということはありません。
ですから、このサービスを邪魔に思う必要はなさそうです。
現場急行(駆けつけ)サービスを提供する自動車保険は、まだ限られています。
現場急行(駆けつけ)サービスを提供している自動車保険は、少しずつ増えていますが、まだ少数です。
現場急行(駆けつけ)サービスを提供している自動車保険
2021年末時点で、現場急行(駆けつけ)サービスを提供している自動車保険は、下表のとおりです。
イーデザイン損保![]() |
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共栄火災![]() |
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セコム損保![]() |
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セゾン自動車火災![]() |
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ソニー損保![]() |
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損保ジャパン![]() |
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楽天損保![]() |
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上表の中で、代理店型は共栄火災と損保ジャパンです。楽天損保は代理店型とダイレクト(ネット通販)型を兼ねており、それ以外はダイレクト型です。
サービス内容は、どこもほとんど同じ
どの自動車保険でも、事故現場が提供されるサービス内容は、ほとんど同じです。違うとしたら、事故現場で手渡されるガイドブックなどでしょう。
たいていの場合、ある自動車保険が独自のサービスを始めても、それが好評なら、1〜2年の内には他社が追いつきます。ロードザービスも、そうやって各社とも拡充してきました。
事故現場急行(駆けつけ)サービスは歴史が浅いですが、同じ道をたどることが予想されます。
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このサービスを提供する自動車保険は他社より保険料が高い、と思われるかもしれません。
しかし、実際に見積もりすると、特別に高くはありません。
自動車保険の保険料は、いろんな要素が積み重なって決まるので、このサービスもそんな要素の一つのようです。
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このサービスの利用者は、平均して保険料を年間約35,000円節約されているそうです。
【補足①】現場急行(駆けつけ)サービスと、ロードサービスの応急対応とは違います!
現場に駆けつけて対応してくれる自動車保険のサービスには、ロードサービスがあります。
2つのサービスの関係
現場急行(駆けつけ)サービスとロードサービスとは、別々のサービスです。
ロードサービスは、自動車事故かどうかに関係なく、走行不能になったら駆けつけてくれます(故障やガス欠など・・・)。
自動車事故のために走行できなくなったら、現場急行(駆けつけ)サービスとロードサービスの両方に、出動要請します。
ロードサービスの主なサービス内容
現場で対応してくれるのは、損保会社と提携している車の整備士です。
ロードサービスの具体的なサービスメニューは、以下になります。
- バッテリー上がりでのエンジン起動
- ガス欠での給油(通常10リットル)
- キー閉じ込みでのカギ開け
- タイヤがパンクしたときスペアタイヤ交換
- 各種オイル漏れの点検・補充
- 冷却水の補充
- バルブ交換
- ボルト増し締め
- 落輪・脱輪・乗り上げ・スタックからの救出
- その他、30分までの現場での応急作業

ちなみに、すべての自動車保険がロードサービスを提供しています。
宿泊費用、帰宅費用、ペットホテル代、キャンセル料などをロードサービスで補償するかは、自動車保険によって異なります。
【補足②】事故現場でやらなければならないことを整理しました。
自動車事故を起こしたときに、現場でやらなければならないことには、以下があります。
- けが人を救護する(救急車を呼ぶ、近くの病院に運ぶなど)。
- 事故車を安全な場所へ移動。
- 警察へ連絡する(「交通事故証明書」発行に必要)。
- 事故の相手を確認する(氏名、住所、連絡先、車の登録番号、自動車保険の情報など)。
- 事故状況と目撃者の確認をする(示談交渉のための証拠確保)。
- 走行できない車両を修理工場へ搬送。

警察には
事件性や道路交通法違反がなくても、連絡してください。
自動車保険を使うには、警察の交通事故証明書が必要です。
そのためには、警察に現場見分してもらわなければなりません。
損害保険会社への連絡は
一連の現場対応が終わった後でも支障ありません。
ただし、利用できるサービスがあったり、有益なアドバイスをもらえるかもしれません。
保険を使う使わないに関係なく、できるだけ早く連絡しましょう。
また、保険を使うときは、事故の詳細説明を求められるので、事故現場で集めた情報をメモに残しておきたいです。
【補足③】JA共済『クルマスター』も、似たようなサービスを提供していますが、サービス内容は劣ります。
JA共済の自動車共済『クルマスター』に、「夜間休日現場急行サービス」というサービスがあります。
ALSOKの警備員が事故現場に駆けつけるサービスです。

このページでご案内している現場急行(駆けつけ)サービスと似ているようですが、細かな点はかなり違います。
JA共済のウェブサイトによると、『クルマスター』のサービス内容は以下のとおりです。
- 平日17:00〜23:00、土日祝日8:00〜23:00にフリーダイヤルで受け付けた事故が対象。
- 警備員がやるのは、事故状況の聞き取り。
- サービス対象は、出動拠点から30分程度で到着できる事故に限られる。
損害保険会社の現場急行(駆けつけ)サービスに比べると、以下の点で薄いです。
- 24時間365日のサービスではない。
- 事故現場で、事故対応を支援・代行してくれるわけではない。
- 対応できない事故が、損害保険会社より多い。
夜間の事故のほうが不安が大きいのは確かですけど、平日の日中の事故でも助けてほしいですね・・・