対物超過特約はすべての自動車保険で提供されていますが、どんな特約なのでしょうか?そして必要な補償なのでしょうか?
対物超過特約は、ほぼすべての自動車保険で提供されています。これを自動セットする商品も増えています。

しかし、その必要性が今ひとつわかりにくく、納得しにくい補償です。
このページでは、対物超過特約の補償内容、必要性、要否の判断方法について解説してします。
対物超過特約の補償内容を、わかりやすく解説します!
事故の相手の車が古いと、トラブルになりやすい
自動車事故で他人のモノをこわしたとき、こちらの対物賠償保険から、修理代が相手に支払われます。
ただし、保険から出る金額はこわれたモノの時価相当額までです。
保険金が修理代に足りないとき、不足分は事故の相手方の自己負担になります。もし時価がゼロなら、相手がほぼ全額を負担しなければなりません。
これは、裁判所で採用されている考え方ですが、相手が納得してくれるとは限りません。
トラブルに発展しやすいケースです。

同程度の中古車を買い直す方が安上りなら、修理しないで中古車を時価で買ってください。
それでも高いお金を払って修理するなら、自己負担でやってください。
・・・というのが裁判所の立場です。公平な基準ではあります。
対物超過特約が保険金を上乗せ
上で説明したようなケースで、こちらの自動車保険に対物超過特約が付いていると、下図のように不足分を補填してくれます。
ただし、補填できる金額には上限があります。ほとんどの自動車保険では一台につき50万円までです。
トクをするのは相手と損保会社?
事故の相手とのトラブルを回避できるのは、加入者にとってメリットです。しかしよく考えると、❶事故の相手、❷損害保険会社には、加入者以上にメリットがあります。
ここが、この特約のスッキリしない点です。
事故の相手は
法律的に要求できないはずの金額を受け取ることができます。
損害保険会社は
損保会社は、事故が起こったら、加入者にかわって事故の相手と示談交渉をおこないます。もし対物超過特約があれば、示談交渉が楽になります。
トラブルになるリスクは現実的
一般論ですが、初度登録から10年を超えると、車の価値はゼロか、それに近くなるとされています。
ちなみに、令和4年3月末現在の乗用車の平均車齢は9.03歳、貨物車は11.67年だそうです。(自動車検査登録情報協会発行『わが国の自動車保有動向』)。
つまり、走行している車の半分くらいは、修理代が高額になったときに、保険金だけでは足りなくなりそうです。
対物賠償保険を使う事故で、相手とこじれてしまう確率は、そんなに低いわけではありません。

対物賠償保険を使う事故でこじれたら、こちらの車の修理代も、すぐに払ってもらえないかもしれませんね。そうなると、いったんは、立てかえなければいけませんね。
それに、裁判などにもつれ込んで、長引くのも面倒ですよね。
実は、おもな自動車保険の半分以上は、対物超過特約を自動付帯して(=あらかじめ組み込んで)います。
対物超過特約はほぼすべての自動車保険で提供されており、自動付帯している商品も多いです。
おもな商品の対物超過特約への対応状況
おもな自動車保険の対物超過特約の商品名と、自動付帯か任意かを、一覧表にまとめました(2023年1月現在)。●が自動付帯です。
あいおいニッセイ同和 | 対物超過修理費用特約 | ● |
---|---|---|
アクサダイレクト | 対物全損時修理差額費用補償特約 | |
イーデザイン損保 | 対物超過修理費用特約 | |
AIG損保 | 相手車全損時臨時費用特約 | |
SBI損保 | 対物差額修理費用補償特約 | |
共栄火災 | 対物超過修理費用補償特約 | ● |
セコム損保 | 対物超過修理費用特約 | ● |
セゾン自動車火災 | 対物全損時修理差額費用特約 | |
ソニー損保 | 対物賠償保険に内蔵 | ● |
損保ジャパン | 対物全損時修理差額費用特約 | ● |
チューリッヒ保険 | 対物差額修理費用補償特約 | |
東京海上日動 | 対物超過修理費特約 | ● |
日新火災 | 対物賠償保険に内蔵 | ● |
三井住友海上 | 対物超過修理費用特約 | ● |
三井ダイレクト損保 | 対物超過修理費用補償特約 | |
楽天損保 | 対物超過修理費用補償特約 | ● |
JA共済 | 対物賠償保険に内蔵 | ● |
全労済 | 対物賠償保険に内蔵 | ● |
ご覧のように、過半数が対物超過特約を自動付帯しています。
とくに、代理店型自動車保険は、AIG損保以外のすべてが自動付帯しています。
逆に、ダイレクト型は、ソニー損保以外のすべてが、任意としています。
この特約があると、損害保険会社は示談交渉を進めやすくなります。楽になります。
まさか、自分たちが楽をするために、対物超過特約を自動付帯にしているわけではない、と思いますが・・・
特徴がある損保会社
補償内容について、次の3社には、他社と異なる特徴(強み)があります。
セゾン自動車火災 | 事故から1年以内の修理が補償される。 |
---|---|
損保ジャパン | 事故から1年以内の修理が補償される。 |
チューリッヒ保険 | 保険金上限を50万円にするか、無制限にするかを選べる。 |
対物超過特約の特約保険料は比較的安く、加入率はそこそこ高いです。
特約保険料は比較的安い
この特約の保険料は商品によって異なりますし、同一商品でも見積もり条件(等級、年齢、車の用途・・・)に左右されます。
複数のダイレクト型自動車保険で特約保険料をシミュレーションした限りでは、年払い保険料にして400~600円前後の印象でした。
この金額だと、自動車保険選びの決め手にはなりにくいです。
特約の付加率は高そう
この特約を自動付帯しない自動車保険のうち、次の2つは自社の特約加入率を公表しています。
イーデザイン損保 | 82% |
---|---|
おとなの自動車保険 | 68.4% |
2つの数字にやや差があります。とは言え、どちらも過半数以上の方々が加入されているようです。
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