50代の自動車保険の相場をご案内します。新規加入や見直しの参考になさってください。
50代は、年代としては保険料が安くなりやすいです。
ただし、子供の学費や老後資金の準備など何かと出費がかさみやすく、お金のやりくりがシビアになりやすい年代でもあります。

このページでは、そんな50代の保険料相場と、保険料を下げる方法をご案内します。
なお、軽自動車は、保険料の決まり方が一部異なるので、別のページでご案内しています。
50代は、40代とともに保険料相場が最も安くなる年代です。保険料がどのくらい安くなるかは、等級次第です。
50代の保険料相場は安い
下のグラフは、ソニー損保の自動車保険での、20〜80歳の保険料シミュレーションです。金額は年払い保険料です。
年齢と年齢条件以外の見積もり条件は固定しています(等級は全て6)。年齢条件は、年齢に合わせて最も安くなるように指定しました。

50代の保険料相場は、40代から引き続きが安い水準を保っています。この傾向は、ソニー損保に限りません。
自動車保険の価格設定がこうなっていることには、理由があります。
保険料が安くなる理由
下のグラフは、原付以上の運転者の、年代別事故発生率のグラフです。警察庁『平成30年における交通事故の発生状況』からの引用です。

50代は事故発生率が最も低いです。だから、保険料が安くなります。
個人の実績である等級を上げる
50代は保険料を安くできる年代です。後は、ご自分の利用実績=等級を整えるだけです。
等級が高いほど(数字が大きいほど)、事故を起こしにくいドライバーとみなされ、保険料の割引が大きくなります。
下の図は、4〜20等級の等級ごとの保険料のイメージです。線が短いほど、保険料は安くなります。
値下がり幅は、等級によって異なっています。
11等級〜19等級の間は値下がり幅が小さく、上限の20等級になると目に見えて安くなっています。
安全運転を継続して着実に等級を上げ、1年でも早く20等級に到達したいです。
50代は、年代としての料金設定は低いので、後は個人としての実績をしっかり作らなければ(=等級を上げなければ)ならないのですね。
契約条件(運転者の範囲、年齢条件など)をどうすれば安くなるか、ご存知ですか!?
自動車保険に申し込むときに、たくさんの項目に回答し、選択しますが、そのほとんどが保険料に影響を与えます。
主なものを下表にまとめました。
項目 | 影響 |
---|---|
車の型式・初度登録年月 | 車種・型式・年式によって、各保険の料率が異なる。 |
車の使用目的 | 「日常・レジャー」<「通勤・通学」<「業務使用」の順に高額になる。 |
車を使う地域 | 代理店型は沖縄県かそれ以外かの指定がほとんど。ダイレクト型は都道府県単位で指定する。 |
年間走行距離 | ダイレクト型のみ。距離が長いほど高額になる。 |
生年月日(記名被保険者) | 年齢によって、保険料が上下する。 |
運転免許証の色 | ゴールド免許は保険料が割引される。 |
運転する人の範囲 | せまいほど、保険料は安くなる。 |
年齢条件 | 運転者の年齢の範囲がせまいほど、保険料は安くなる。 |
補償内容 | 保険、特約の内容によって、保険料は変動する。 |
これらの項目は、嘘を指定してそれが発覚すると、保険金が支払われなかったり、契約が解除されます。
ですから、保険の内容の点検だけでなく、保険料を安くできる車の使い方の検討も併せてやっていただきたいです。
車の使用目的
保険料は「日常・レジャー」<「通勤・通学」<「業務使用」の順に高額になります。
「通勤・通学」や「業務使用」に当てはまるのは、そのために車を平均して月に15日以上使う場合です。
たとえば、通勤に使うのが週に2〜3日なら、「日常・レジャー」で保険に加入できます。
車の使い方を見直すことで、保険料を下げられるかもしれません。
年齢条件、運転する人の範囲
自動車保険では、車を運転する人の範囲を、2つの角度から限定できます。
- 年齢条件
- 運転する人の範囲
保険料を下げるために、次のことを意識してください。
- 日常的に車を使う人にしぼって指定する。
- 他の人が運転するときは、➊その人が自動車保険に入っているときは、それで補償してもらう(他車運転特約)、➋契約内容変更手続きをおこなって、その期間だけ運転者の範囲を広げる、➌1日自動車保険に入ってもう、のいずれかで対処する。
年齢条件
《年齢条件》に、は次のような選択肢が用意されていて、当てはまるものを指定します。
- 全年齢
- 21歳以上
- 26歳以上
- 30歳(または35歳)以上
この選択肢の下になるほど、保険料は安くなりますし、金額の差は大きいです。
運転する人の範囲
以下のような選択肢が用意されています。
- 本人限定
- 本人・配偶者限定
- 家族限定
- 限定なし
最近は、「家族限定」を廃止する商品が増えています。
下の選択肢ほど運転者の範囲が広くなり、保険料が高くなります。
同居する子を運転させる?
18歳から運転免許が取得できるようになります。
子供に親の車を運転させるなら、《運転者の範囲》と《年齢条件》を子供に合わせて変更する必要があります。
しかし、事故発生率が高い20歳前後を補償範囲に加えると、保険料は大幅に高くなります。
下表では、55歳の親(夫婦)だけの保険料と、そこに20歳の子供を含めたときの保険料を、2つの自動車保険で比較しました。
損保会社 | 親だけ | 親 子 |
---|---|---|
損保ジャパン | 28,070円 | 70,970円 |
イーデザイン損保 | 22,140円 | 55,560円 |
代理店型とダイレクト型なので、もともとの価格水準は異なりますが、どちらも子供を加えると倍以上に跳ね上がっています。
ふだんは子供を補償対象から外しておいて、子供に運転させるときだけ、次のいずれかの方法をとることで、保険料を節約できます。
- 契約内容変更手続きをして、《運転者の範囲》と《年齢条件》を広げる。
- 「1日自動車保険」に入れる。
補償内容を点検するときは、対人・対物賠償保険以外の、保険料が高い保険・特約に目をつけましょう。
下表は、セゾン自動車保険『おとなの自動車保険』に、55歳人18等級の人が加入したときの、年払い保険料の内訳です。
保険・特約 | 保険料 |
---|---|
対人・対物賠償保険他 | 34.290円 |
人身傷害保険 (車内外5,000万円) |
3,190円 |
搭乗者傷害保険 (500万円) |
1,210円 |
車両保険 (車両価格100万円) |
21,660円 |
弁護士費用特約 | 3,500円 |
個人賠償責任特約 | 2,200円 |
対人賠償保険・対物賠償保険の保険料が最も大きいです。ここにメスを入れたいところですが、事故の相手の損害の大きさは想定できませんし、億を超える可能性があります。できるだけ手を付けたくありません。
となると、以下の保険が検討対象になります。
車両保険
車両保険の保険料はお車の時価によって前後しますが、いずれにしてもそれなりに大きくなります。

ただし、補償内容について指定できる項目数が多いです。次のような手を打つことができれば、値下げできます。
- 一般型からエコノミー型に変更できるか?
- 保険金額を下げられるか?
- 免責金額を設定できるか?あるいは金額を大きくできるか?
- 車対車免ゼロ特約を外せるか?
- 代車費用の特約を外せるか?
保険料を調整できる余地は大きいので、いろいろお試しください。
人身傷害保険、搭乗者傷害保険
自動車事故で、こちらが亡くなったりケガをするかもしれません。そのための備えが人身傷害保険や搭乗者傷害保険です。

ただ、こちらの治療費を補償する保険は他にも複数あります。そうした保険に加入していたら、人身傷害保険や搭乗者傷害保険は不要かもしれませんし、補償を小さくできるかもしれません。
以下のいずれかに該当する方は、人身傷害保険や搭乗者傷害保険の補償内容を点検しましょう。
- 同居する家族も、人身傷害保険に入っている。
- 傷害総合保険に入っている。
- 生命保険、医療保険に加入している。
また、そもそも人身傷害保険と搭乗者傷害保険とでは、補償が重複します。補償の重複は本来はムダです。両方に入っている方は、今一度必要かどうかをご確認ください。
損害保険会社や代理店は、補償の重複に対してけっこう鈍感です。重複しているプランを、割と平気で勧めてきます。
本来、重複は望ましくないので、こちらが主体的に点検しましょう。
50代は保険料の激戦区です。金額が接近しています。必ず比較して選びましょう!
50代は保険料の激戦区
50代は、40代と並んで保険料の激戦区です。各社の保険料が接近します。
下のグラフは、7パターンの見積もり条件で7つのダイレクト型自動車保険の保険料を算出し、最高値と最安値の金額差を表しています。
線が短いほど、最高値と最安値の差が小さい=金額が接近している、ということです。
このグラフからは、40代と50代の保険料がとくに接近していることがわかります。
金額差が小さいと、補償やサービスを気に入って、保険料が高い方を選ぶ可能性が高くなります。
ですから、次の2つのことを頭に置いてください。
- 見積もり前に候補をしぼりすぎない。できるだけ多く見積もりする。
- 各社は毎年のように保険料改定しているので、毎年見積もりを比較したい。
50代はダイレクト(ネット通販)型“適齢期”
ダイレクト型自動車保険の弱みは、(代理店が提供する)対面サポートを受けられない点です。
ただし、以下の2つに当てはまる人にとって、代理店によるサポートは必要不可欠ではないでしょう。
- 消費者として必要な自動車保険の知識は、ある程度身についている。
- 何年も自動車保険を続けているので、補償内容はほぼ固まっている。
50代のドライバーなら、この2条件を充たす方が大勢いらっしゃると思います。
現在、代理店型に加入していて、代理店とのやりとりが電話・郵便物だけなら、ダイレクト型に乗り換えても、問題なくやっていけるはずです。
むしろ、それで代理店型の高い保険料を負担しているのは、もったいないです。
保険としての基本的な仕組みや補償は、代理店型とダイレクト型で差はありません。ただし、基本の補償を補強する特約等には違いがあります。
また、事故対応は、代理店型自動車保険でも損保会社本体がおこないます。代理店が無いから事故対応が悪くなることはありません。
コストパフォーマンスの良さで自動車保険を選ぶなら、無料の一括見積サービスをおすすめします。
ほとんどの損保会社は、自社のウェブサイトで、簡単に保険料を見積もりできる仕組みを提供しています。
それでも、複数の自動車保険を比較するのは、けっこう時間と労力がかかります。

というのは、仕組みや用語が異る複数の自動車保険を、内容をそろえて見積もりするのは、意外と難しいからです。
時間と労力がかかっても、正確に見積もりシミュレーションできればよいですが、ミスや誤解があるまま決断する恐れがあります。
そこで、無料の一括見積もりサービスをおすすめします。
一回の入力で、おもな自動車保険の見積もりが、お手元に集まります。
このサービスの利用者は、平均して保険料を年間約35,000円節約されているそうです。

同居の子供が運転免許を取得したときに、保険料を下げられる方法があります。
同居している10〜20代前半の子供が自動車保険に入る場合、保険料はかなり高額になります。
そういうケースでは、家族間で等級を交換することで、世帯全体の出費を抑えることができます。
- 同居する家族の間で、等級を譲る。
- 亡くなった人の等級を、同居する家族が引き継ぐ。
- 中断証明書を使って、同居する家族に等級を譲る。
子供の年齢が高くなるほど、ここでご案内する方法の効果は低くなります。とくに30歳を超えると、期待ほどの節約効果を得られないかもしれません。
事前に損保会社にシミュレーションをしてもらいましょう。
セカンドカー割引の適用を忘れずに
等級の交換を検討する前に、セカンドカー割引の適用をお忘れなく。加入申込のときに、すでに保険に入れている車があることを申告するだけです。
新たに加入する保険にセカンドカー割引が適用されると、原則6等級スタートのところを、7等級からスタートできます。保険料はけっこう下がります。
セカンドカー割引の条件は、➊配偶者や同居する親族がすでに自動車保険に入っていて、➋その等級が11等級以上であることです。
1台目と2台目とが異なる自動車保険でも、この割引は適用されます。

等級を交換する手順
親子の間で等級を交換する手順を解説します。祖父母と孫の間でも同じやり方です。
ステップ0
開始時点の状態です。
仮に親が17等級で自動車保険に加入しているとします。
子供はまだ加入していません。
ステップ1
親の自動車保険を、等級ごと子に譲ります。
具体的には、「車両入替」と「契約内容変更」(記名被保険者、契約者、車両所有者を子に変更)の2つの手続きをおこないます。
これで17等級の保険は子に譲り渡され、親はいったん無保険状態になります。
ステップ2
親は新規で自動車保険に加入します。
子に譲った保険があるので、セカンドカー割引が適用され、7等級スタートになります。
同じ7等級でも、保険料は子より親のほうが安くなるので、世帯全体の出費を下げられます。
なお、上の手続きは裏技ではなく正規のものです。やりたいことをそのまま損保会社に伝えると、手配してもらえます。
こんなケースでも等級を引き継げる
亡くなった家族の等級を引き継ぐ
同居する家族の中で誰かが亡くなった場合、家族の他の人に等級を引き継ぐことができます。
たとえば亡くなった親の等級を、その子供に引き継げます(親の自動車保険の記名被保険者を同居の子供に変更)。
中断証明書で、家族の等級を引き継ぐ
いずれ再開する予定で、自動車保険をいったん止めるときに、損害保険会社が「中断証明書」を発行してくれます。
中断証明書があると、10年以内であれば、元の保険の等級から再開できます。
そして、この中断証明書を、同居する家族にバトンタッチできます。

自動車保険を止めるときは、譲る予定がなくても、念のために中断証明書をもらっておきましょう。