車両保険の補償範囲を狭くすると、保険料を安くできます。しかし、それにはリスクが伴います。
車両保険は保険料が高くなりやすいので、保険料を下げるための設定項目がいくつか用意されています。
補償される事故の範囲指定は、そのうちのひとつです。
事故の範囲を狭くすることで、保険料を下げられますが、その見返りに、無視できないデメリットがあります。
このページでは、事故の範囲の指定方法と、その注意点を説明しています。
車両保険を「車対車+限定A(エコノミー)」や「限定A」にするメリットとデメリット。
車両保険を付けると、保険料は2倍近くになってしまいます。
車両保険は欲しいけれど、保険料はできるだけ抑えたい、というときには、いくつかの方法があります。
その1つが、補償される事故の範囲を限定する方法です。
車両保険から保険金が出る事故の範囲を、狭く指定することで、保険料を大幅に安くできます。
補償される事故の範囲を限定する、節約効果は大きい
補償される事故の範囲を限定することで、車両保険の保険料がどのくらい安くなるか、例をご覧いただきましょう。
ソニー損保の自動車保険で、35歳15等級の人が、100万円の車両保険をつけるという設定です。
ソニー損保の場合、事故の範囲を限定するかしないかの二択になります。
補償される事故の範囲 | 年払い保険料 (車両保険のみ) |
---|---|
範囲を限定しない | 31,470円 |
範囲を限定する | 14,110円 |
金額自体は、見積もりの条件によって変動するので、参考になりません。ここでは、2倍以上の金額差になっていることにご注目ください。
補償される事故の範囲を限定することによる、保険料の節約効果はかなり大きいです。
車両保険の補償範囲の指定方法には、3つのタイプがある
車両保険の補償範囲を限定するタイプには、限定Aタイプ、車対車+限定Aタイプ、一般タイプの3つがあります。
それぞれのタイプの、補償される事故の範囲は、下表のようになっています。
限定Aタイプ | 車対車+限定A タイプ |
一般タイプ | |
盗難 | ○ | ○ | ○ |
火災・爆発 | ○ | ○ | ○ |
暴力行為(騒擾行為) | ○ | ○ | ○ |
台風・洪水・高潮 | ○ | ○ | ○ |
落書・ガラス破損 | ○ | ○ | ○ |
物品飛来・落下 | ○ | ○ | ○ |
他車との衝突,接触,追突 | - | ○ | ○ |
原付との衝突,接触 | - | ○ | ○ |
単独(自損)事故 | - | - | ○ |
自転車との衝突 | - | - | ○ |
当て逃げ | - | - | ○ |
転落・転覆 | - | - | ○ |
相手との非衝突事故 | - | - | ○ |
限定Aタイプの無い自動車保険が主流
理屈の上では、補償される事故の範囲は、上の3パターンになります。
しかし、現時点では、ほとんどの自動車保険に、限定Aタイプ(=もっとも狭いタイプ)は用意されていません。
つまり、《車対車+限定A》タイプか、一般タイプの二択になっていることが多いです(上のソニー損保もこの方式です)。
そして、《車対車+限定A》タイプは、エコノミー・タイプなどと名付けられていることもあります。
よって、車両保険の保険料を節約したければ、《車対車+限定A》タイプが選択肢となります。
故障の原因がなんであれ、修理代は必要になります。原則として、一般タイプを選んでください。
補償される事故の範囲を狭くすると、保険料を下げることができます。しかし、この方法を選ぶときは、慎重に判断してください。
車が生活必需品なら、一般タイプがおすすめ
故障の原因が何であれ、車が故障したらすぐに修理しないと、生活に支障が出る。しかし、修理代が高額になると、預貯金の余裕がないので心配・・・
こういう方には、あえて保険料の高い一般タイプをおすすめします。
事故は思いがけず起こります。こちらで事故の種類を選ぶことはできません。
修理代の負担が心配で車両保険を付けるのでしたら、事故の範囲を限定しない方が良いです。
単独(自損)事故による保険金の請求は多い
たとえば、《車対車+限定A》タイプの補償される事故の範囲からは、単独(自損)事故が省かれています。
車両保険の保険金の支払いのうち、単独(自損)事故の割合がどのくらいか、ご覧いただきます。
損害保険料算出機構『自動車保険の概況』(2018年度)によると、車両保険の保険金支払い実績に占める、事故の割合はグラフのようになっています。

このグラフは、事故の種類を、単純に「車対車」「車対人」「車対物」「単独(自損)」の4パターンに分けています。
%で表されているのは、保険金支払いの件数の割合です。
ご覧のように、単独(自損)事故は27.0%で、全体の4分の1を超える件数でした。
けっこう多いです。
《車対車+限定A》タイプを選んでしまうと、単独(自損)事故のときには車両保険から保険金が出ません。
ちなみに、『自動車保険の概況』によると、単独(自損)事故の、1件あたりの保険金額は260,136円でした。
車同士の事故は297,176万円だったので、金額の差は意外と小さいです。
《車対車+限定A》タイプは、念のために車両保険を付ける人向け
《車対車+限定A》タイプを選んでいいのは、預貯金から修理代を支払うつもりのある人、ということになります。
そういう人が、念のために車両保険を付けるということなら、《車対車+限定A》タイプを選んでも、深刻なことなはならないでしょう。
車両保険は保険料が高いので、検討されるなら、実際の見積り金額を、早い段階でご覧になってください。
車両保険に関心をお持ちなら、早めに見積りを取ることをおすすめします。
車両保険の保険料は高いので、金額をご覧になって、考え方が大きく変わるかもしれません。だったら、早い段階でご覧になった方が良いと思います。
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