自動車共済とはどんなもの?自動車保険と何が違うの?検討する価値はあるの?自動車共済をめぐる、さまざまな疑問にお答えします。
自動車共済は、自動車保険(任意保険)と同じ役割をはたします。
そして、どなたでも、いずれかの共済に入ることができます。

このページでは、自動車保険と比較しながら、自動車共済の特徴、メリット・デメリット、検討に際しての注意点、おすすめ商品などをご案内します。
自動車共済は、全体的には自動車保険と似ていますが、4つの見過ごせない違いがあります。
自動車共済と自動車保険とは、大部分が共通しています。とは言え、実際に入るとなると気になりそうな差異がいくつかあります。
とくに意識していただきたい違いを、以下でご説明します。
自動車共済に入るには、まず組合員になる
共済は、協同組合が組合員向けに提供しています。
共済に入るには、どれかの組合のメンバーにならなければなりません。
組合によって、組合員になれる条件(職業や地域など)があります。まず、条件が自分に合う組合を見つけなければなりません。
もっとも、このページでお勧めする共済であれば、 どなたでも自動車共済に加入できます。
また、組合に入るにあたって、出資金(入会金のようなもの)を負担しなければなりません。

補償内容やサービスの差が大きい
組合は助け合いの組織で、いろいろな地域や業界などに存在しています。そして、そこで共済が販売されています。
そのため、共済業界のような業界はありませんし、統一して規制する法律や監督官庁もありません。
そのため、組織の信頼性にしても、共済の中身にしても、玉石混交です。
自動車共済にしても、損保会社の自動車保険と遜色ないものもあれば、等級制度を持たない原始的な商品もいまだに販売されています。
自動車共済は、自動車保険よりもしっかりと選別する必要があります。下で、選別の基準を解説しています。

共済が破綻しても、加入者を保護する仕組みはない
銀行が破綻したら預金保険機構が、生命保険会社が破綻したら生命保険契約者保護機構が、損害保険会社が破綻したら損害保険契約者保護機構が、加入者を保護します。

それに対して、共済には、このような保護機構がありません。
そのため、自動車共済は、自動車保険より、自己責任のウェイトが大きいです。
言葉づかいが、自動車保険と少し違う
わたしたち消費者には、共済と保険はほとんど同じに見えますが、提供している当事者たちは違いにこだわりがあるようです。
自動車共済のパンフレットなどで商品説明を読むと、「保険」という言葉は登場しません。
共済の商品説明では、下のように言葉が置き換えられています。
- 「 保 険 」 ⇒ 「共済」「補償」「保障」
- 「保険金」 ⇒ 「共済金」
- 「保険料」 ⇒ 「掛金」「共済掛金」

安心しておすすめできる自動車共済の条件は、こちらの3つです。
自動車共済は当たりハズレがあるので、オトクかを検討する前に、安心できるかを見きわめる必要があります。
安心できるかのチェックポイントは、次の3点です。
- 監督官庁がある
- 自動車保険と等級引継できる
- 信頼できそうな評判・口コミがある
2つめの等級引継について、補足説明します。
自動車保険と等級引継できる共済
自動車保険には、等級制度があります。
等級が高いほど、保険料の割引率が大きく(=保険料が安く)なります。
そして、等級制度は損保業界共通の仕組みなので、他社の自動車保険に乗り換えるときに、等級を引き継ぐことができます。
たとえば、現在10等級の人が、満期のときに他社に乗り換えると、乗り換え後の等級は図のようになります。
等級引継できないと、新規で加入する人と同じく6等級からの再スタートになります。
そして、自動車共済の中にも、自動車保険と等級を引継げる商品があります。
こうした自動車共済をおすすめする理由は。以下の2つです。
等級引き継ぎできる自動車共済は高品質
等級制度は、自動車保険にとって、保険料を左右する重要な仕組みです。
自動車保険と等級引継ぎできる自動車共済は、損害保険会社から認められた商品です。
損害保険料率算出機構『自動車保険の概況』(2021年度)によると、自動車共済と自動車保険の市場シェアは下のようになっています。
ご覧のように、自動車保険が事実上国内標準になっています。
そんな自動車保険の同等レベルの自動車共済のほうが、安心できます。
将来の選択肢を確保できる
自動車保険と等級引き継ぎできない自動車共済は、他の自動車共済とも等級引き継ぎできません。
つまり、不満が大きくなって他に乗り換えたら、初めて加入する人と同じく6等級からのスタートになります。保険料(掛金)は値上がりするリスクが大きいです。
それが嫌で、不満があっても、渋々今の共済を続けることになるかもしれません。
自動車共済の掛金(保険料)を、自動車保険の相場と比較しました。長く続けるものなので、将来何が起きるかわからないですものね。
自動車保険と等級引継ぎできる自動車共済
主な自動車共済の中で、損害保険会社と、等級承継できる共済、できない共済を、一覧にまとめました。
等級引継ぎできる |
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等級引継ぎできない |
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要するに、自動車保険と対等な自動車共済は、JA共済、こくみん共済coop、全自共、日火連の4つです。
ただし、まったくの新規加入扱い(6等級スタート)なので、掛金(保険料)は高くなります。
あいにくと、お勧めするための3条件を充たす自動車共済は、これだけでした!
あいにくと、上の3つの条件を全て充たすのは、こくみん共済coopの自動車共済だけです。商品名はマイカー共済です。
【おすすめの自動車共済】


マイカー共済をおすすめする理由は、上の3条件を含めて、以下があります。
- 厚生労働省が、消費生活協同組合法に基づいて監督している。
- 自動車保険と等級引継ができる。
- 自動車共済の中で、良い評判・口コミ情報がある。
- 共済の規模が大手損保並みに大きいので、経営破綻等の不安が小さい。
- 取扱窓口の数が多く、ネット加入も可能で、利便性が高い。
- ダイレクト型自動車保険に近い、リーズナブルな保険料設定。
何点かを、以下で補足説明します。
こくみん共済coop(全労済)は大手損保並の金融機関
保険会社としての支払い能力を表す2項目、「責任準備金残高」「ソルベンシー・マージン比率」を、2021年度の決算資料から抜き出し、大手損保4社(=業界売上高トップ4)と比較しました。
会社名 | 責任準備金残高 | ソルベンシー・ マージン比率 |
---|---|---|
こくみん共済coop | 31,888億 | 2,191% |
東京海上日動 | 44,017億 | 843% |
損保ジャパン | 36,573億 | 697% |
三井住友海上 | 30,289億 | 722% |
あいおいニッセイ同和 | 18,427億 | 758% |
ご覧のように、大手損保に匹敵する資金力、安全性です。
このこくみん共済coopが、自動車共済の保険期間である1年間のうちに、経営不振になって破綻することは、考えにくいです。
代理店型より安く、ダイレクト(ネット通販)型に近い掛金
3つの知名度の高い共済の掛金を、3パターンの年齢・等級で見積もりし、代理店型自動車保険及びダイレクト型自動車保険の保険料相場と比較しました。
下のように、こくみん共済coopは、自動車共済の中で価格設定が良心的で、ダイレクト型自動車保険に近いです。
26歳 7等級
26歳、7等級、車両保険なしの、年払い保険料です。
35歳 10等級
35歳、10等級、車両保険なしの、年払い保険料です。
45歳 14等級
45歳、14等級、車両保険なしの、年払い保険料です。
信頼できる評判(顧客満足度、口コミ)がある
自動車保険のランキングは色々とありますが、自動車共済が登場するものは少ないです。
というか、信頼できそうなもの、日本生産性本部が毎年公表しているJCSI(日本版顧客満足度指数)くらいです。
下図は、2022年度ランキングの、6部門のトップ5です(公表されるのはこれだけ)。
自動車共済で名前があるのは、こくみん共済coopだけです(赤いマルの部分)。
こくみん共済coopは、好評というほどではありませんが、平均的な自動車保険に近い品質を期待できそうです。
ほかの自動車共済は、こういった情報が見当たりません。顧客満足度が低いとは限らないものの、前向きな情報がなければ、おすすめしにくいです。
一括見積もりサービスを使えば、こくみん共済coop(全労済)と主な自動車保険とを、手軽に比較できます。
こくみん共済coopの自動車共済を興味をお持ちなら、無料の一括見積もりサービスの活用をおすすめします。
こくみん共済coopのウェブサイトにも、各損保会社のウェブサイトにも、使いやすい保険料シミュレーション機能が用意されています。
とはいっても、複数の商品の見積もりを、同じ内容にして作成するのは、意外と大変です。

商品によって、言葉遣いや仕組みが少しずつ異なります。それらを、補償をそろえて見積もりしようとすると、けっこうな商品知識を要求されます。
その点、一括見積もりサービスなら、1回(1社分)の入力で、こくみん共済coopや主要な損保会社の見積もりが一気に集まります。
以下の、無料の一括見積もりサービスをおすすめします。
一括で見積もりをした後、個別の商品について、見積条件を変えて再見積もりすることも可能です。
【付録】全国規模の大きな4つの共済を紹介します。自動車共済がないところもあります。
協同組合が全国にどのくらいあるか、正確にはわかりません。どんな分野の協同組合かによって、監督する官庁が異なります。また、監督官庁のない無認可のものもあります。
そんな中で、規模の大きさから、四大共済などと呼ばれるのが、以下の共済です。
- JA共済
- こくみん共済coop(全労済)
- コープ共済
- 都道府県民共済
このうち、自動車共済があるのは、こくみん共済coopとJA共済です。
JA共済
JA共済を運営するのは全国共済農業協同組合連合会です。
JA共済は、日本最大の共済です。そして、金融サービス機関としても、国内有数規模です。
JA共済のサービスを利用できるのは、全国の農業協同組合の組合員です。農業を営んでいる人がメインになりますが、農業に従事していなくとも、准組合員となるか、員外利用という形で、共済を利用できます。
JA共済が提供している共済(保障)は、生命保険か損害保険かの区別がなく、とても幅広いです。
- 死亡保障(終身共済、定期生命共済など)
- 医療保障(医療共済、がん共済など)
- 傷害共済(傷害共済)
- 障害・介護保障(生活障害共済、介護共済)
- 老齢年金(予定利率変動型年金共済 ライフロード)
- 住まいの保障(建物更生共済むてきプラス)
- 自動車の補償(自動車共済クルマスター、自賠責共済)
ご覧のように、自動車共済を扱っています。
詳しくは、JA共済の自動車共済を徹底チェックをご覧ください。

こくみん共済coop(全労済)
こくみん共済coopの運営主体は全国労働者共済生活協同組合連合会です。
1,000円以上の出資金(入会金のようなもの)を支払えば、誰でも組合員になれます。そして、こくみん共済coopのサービスを利用できます。
こくみん共済coopが提供している共済(保障)は、生命保険か損害保険かの区別がなく、とても幅広いです。
- 死亡保障(こくみん共済、新せいめい共済など)
- 医療保障(こくみん共済、新総合医療共済など)
- 障害・介護保障(こくみん共済、新総合医療共済など)
- 老齢年金(ねんきん共済、新団体年金共済など)
- 住まいの保障(住まいる共済)
- 自動車の補償(マイカー共済、自賠責共済など)
こくみん共済coopの自動車共済は「マイカー共済」です。
Webで加入手続きできます。また、全国の共済ショップや共済代理店を通して入ることもできます。
加入するにあたって、保険会社との違いを感じることは少ないです。そういう意味では、利用しやすいです。
詳しくは、こくみん共済coop「マイカー共済」を徹底チェックをご覧ください。

CO・OP(コープ)共済
日本生活協同組合連合会が運営する共済事業です。
全国の都道府県にある生活協同組合の組合員になると、共済のサービスを利用できます。
都道府県の生活協同組合は、それぞれが独立した法人です。組合員になるための条件も異なります。とは言え、居住エリアが当てはまっていれば、たいていは入れます。
各生活協同組合は、さまざまなサービスや活動をおこなっています。共済(保障の商品・サービス)はそのうちのメニューの一つです。
共済のラインナップは、医療保障、死亡保障、住まいの保障など幅広いです。ただし、自動車共済はありません。
都道府県民共済
都道府県民共済は、全国生活協同組合連合会(全国生協連)が運営しています。
共済の名称は、地域によって異なります。
- 北海道は道民共済
- 東京都は都民共済
- 大阪府・京都府は府民共済
- 神奈川県は全国共済
- その他の県は県民共済
保障サービスそのものは、全国生活協同組合連合会が、全国一律のサービスを提供しています。
各都道府県共済は、それぞれが独立した法人で、全国生活協同組合連合会の代理店(=諸手続きやサービスの窓口)として機能しています。
商品ラインナップは生命共済と火災共済で、自動車共済はありません。