20代後半の自動車保険の相場をご案内します。新規加入や見直しの参考になさってください。
20代後半は他の年代より保険料が高めなので、負担軽減の工夫をしたいです。

このページでは、20代後半の保険料相場と、保険料を下げる方法をご案内します。
なお、軽自動車は、保険料の決まり方が一部異なるので、別のページでご案内しています。
20代後半の保険料相場が高くなる理由をご説明します。
20代後半の保険料は高齢者並
下のグラフは、ソニー損保の自動車保険での、20〜80歳の保険料シミュレーションです。金額は年払い保険料です。
年齢と年齢条件以外の見積もり条件は固定しています(等級は全て6)。年齢条件は、年齢に合わせて最も安くなるように指定しました。

個人差(等級や補償内容の違いなど)を無視すれば、20代後半の保険料は60〜70代に近い水準のようです。
20代前半に比べるとかなり安く見えますが、その他の年代と比べると、安いとは言えません。
自動車保険の価格設定がこうなっていることには、理由があります。
保険料が高い理由
下のグラフは、原付以上の運転者の、年代別事故発生率のグラフです。警察庁『平成30年における交通事故の発生状況』からの引用です。

20代後半(グラフの25〜29歳)の事故発生率は意外と高いです。80代前半と同じくらいです。
30歳、8等級以上の両方をクリアするまで、無事故でがんばりましょう!
上で説明したように、20代の保険料の高さの原因は事故率の高さでした。そして、事故率が高いのは世代全体の傾向なので、個人の努力で下げることはできません。
ですから、保険料を下げるための根本的な対策は、年数をかけて、保険料が安くなる条件を少しでも早くクリアできるよう、努めることです。
そして、20代後半の方々の当面の目標は、8等級以上になって、30歳を迎えることです。
30歳で保険料の水準は“大人”扱いに
上の事故発生率のグラフから読み取れるように、30代になると事故は起こりにくくなります。とくに30代後半になると最低の水準になります。
その結果、30歳になると“大人”の安い保険料水準に仲間入りできます。
以下に2つの具体例をご用意しました。
ダイレクト型自動車保険
三井ダイレクト損保の自動車保険で、24〜31歳の保険料を見積もりしました。同社の標準プラン(車両保険なし)で、等級は6に固定しています。
年齢条件は、年齢に合わせて最も安くなるように設定しました(「21歳以上」「26歳以上」「30歳以上」)。
三井ダイレクト損保では、20代の保険料は年齢条件で決めているようです。
他のダイレクト型も、同じようなやり方をしています。違いがあっても、部分的な違いであることが多いです。
代理店型自動車保険
上と同じやり方で、今度は三井住友海上の保険料をシミュレーションしました。
ちなみに、三井住友海上を始めとした代理店型の多くは、年齢条件に「30歳以上」の区分は無くて、かわりに「35歳以上」の区分が設けられています。
三井住友海上も、年齢条件で保険料を決めているようです。
しかも、年齢条件に「30歳以上」がないにもかかわらず、30歳で保険料の水準が変わっています。
代理店型自動車保険でも、30歳を一つの区切りとしているようです。
8等級から、保険料の変化がゆるやかになる
等級は6からスタートし、自動車保険を使わない限り、更新ごとに1つずつ高くなります。そして、高くなるほど保険料は安くなります。
もし事故で保険を使うと、次の更新のときに等級がダウンし、保険料は値上がりします。
下の図は、4〜10等級の等級ごとの保険料のイメージです。線が短いほど、保険料は安くなります。
8等級以降は、それ以前と比べて、保険料の変化がゆるやかになっています。
保険料を見る限り、8等級が脱初心者レベルということのようです。
自動車保険は6等級スタートなので、8等級到達は簡単に思えるかもしれません。
しかし、事故で保険を使ったら、次の更新で3等級ダウンすることがあります。3等級ダウンすると、8等級が一気に遠くなります。
【保険料の節約法➀】自動車保険の契約条件や補償を見直して、保険料を下げるヒント!
自動車保険の保険料に影響する、主な項目を下表にまとめました。
項目 | 影響 |
---|---|
車の型式・初度登録年月 | 車種・型式・年式によって、各保険の料率が異なる。 |
車の使用目的 | 「日常・レジャー」→「通勤・通学」→「業務用」の順に高額になる。 |
年間走行距離 | 距離が長いほど高額になる。ただし、ダイレクト型のみ。 |
生年月日(記名被保険者) | 年齢によって、保険料が上下する。 |
運転免許証の色 | ゴールド免許は保険料が割引される。 |
運転する人の範囲 | せまいほど、保険料は安くなる。 |
年齢条件 | 運転者の年齢の範囲がせまいほど、保険料は安くなる。 |
補償内容 | 保険、特約の内容によって、保険料は変動する。 |
これらの中から、できることを一つでも多く実行したいです。
とくに再点検していただきたい点を、以下で補足説明します。
軽自動車の方が確実に安い
これから車を選ぼうという方々には、保険料節約の面から、軽自動車をお勧めします。
同じ補償内容でも、普通自動車・小型自動車(白いナンバー)と軽自動車とでは、保険料に差が出ます。
下表は、三井住友海上の自動車保険での、29歳10等級の保険料比較です。
車種 | 年払い保険料 |
---|---|
小型自動車 | 90,140円 |
軽自動車 | 67,720円 |
車両保険をつけていなくとも、軽自動車のほうが大幅に安いです。
年齢条件をせまく指定する
年齢条件(「全年齢」「21歳以上」「26歳以上」)は、保険料への影響が大きいので、可能な限りせまく=高い年齢に指定したいです。
下表は、三井住友海上の自動車保険での、年齢条件ごとの保険料比較です。上の軽自動車の見積もりをもとに、年齢条件だけを変化させました。
年齢条件 | 年払い保険料 |
---|---|
全年齢 | 131,680円 |
21歳以上 | 87,360円 |
26歳以上 | 67,720円 |
日常的に運転する人以外は対象から外しましょう。もし、ふだん運転しない人が運転するときは、次のいずれかの対応をしましょう。
- たまに運転する人、運転するかもしれない人の事故は、その人が加入している自動車保険(他車運転危険特約が自動付帯)で補償してもらう。
- たまにしか運転しない人は、運転する期間中だけ、契約変更手続きをして補償対象に加える。
自分たちのための保険は必要?
こちらの損害は、その大きさをある程度想定できるし、事故が起きる確率を多少はコントロールできます(たとえば、日中に近場で買い物をするためだけの車なら、大きな損害を被る確率は低くなります)。
また、修理代や治療費が必要になっても、余裕資金や他の保険でカバーできるかもしれません。
というわけで、自分たちのための保険(人身傷害保険、車両保険)は、誰にとっても必要不可欠というわけではありません。
下表は、三井ダイレクト損保の自動車保険での、29歳10等級のエコノミープランの保険料内訳です。
保険 | 年払い保険料 |
---|---|
総合計 | 58,130円 |
人身傷害保険 (保険金3000万円) |
4,950円 |
車両保険 (保険金100万円) |
11,960円 |
これらの保険を外したり、補償を小さくすることで、保険料を節約できます。
他に資金を用意するあてがないのに人身傷害保険を外すのは、お勧めできません。
【保険料の節約法➁】同居の家族が車を持っていたら使えるかもしれない、保険料を下げられる大技があります。
特定の条件に合致しないと使えませんが、同居する家族が自動車保険に入っていたら使えるかもしれない、保険料を安くする方法があります。
- 世帯で2台目なら、セカンドカー割引。
- 同居する家族の間で、等級を譲る。
- 亡くなった人の等級を、同居する家族が引き継ぐ。
- 中断証明書を使って、同居する家族に等級を譲る。
それぞれについて、以下で説明します。
セカンドカー割引
セカンドカー割引の条件は
①同居する配偶者や親族がすでに自動車保険に入っていること、②それが11等級以上であること
です。
この割引は、1台目と2台目が、異なる自動車保険でも適用されます。
セカンドカー割引が適用されると
6等級ではなく7等級からスタートできます。
たった1等級の違いですが、6等級と7等級では、割引率の差が大きいです。

もちろん、保険に加入した後に別居しても、等級が元にもどされることはありません。
就職などで別居する予定があるなら、同居しているうちに自動車保険に入るほうが、保険料に関してはオトクです。
なお、実際にこの割引が適用されるには、さらにいくつかの条件があります。詳しくは以下をご覧ください。
同居している家族の間で、等級をゆずる
同居する家族の間で、等級をゆずることができます。
ここでの“ゆずる”は、一方通行を指します。等級を交換することはできません。
そのため、ゆずった側は等級を失います。ゆずった後も引き続き運転するときは、自動車保険に新規加入して、6等級からの再スタートになります。

なお、ここでの“同居”は、実生活の拠点が同じという意味です。たとえば、住民票が同じ住所でも、生活の拠点が異なっていたら、対象外です。
亡くなった家族の等級を引き継ぐ
同居する家族の中で誰かが亡くなった場合、家族の他の人に等級を引き継ぐことができます。
たとえば親が亡くなった場合、親の自動車保険の記名被保険者を同居の子供に変更すれば、親の等級をそのまま引き継ぐことができます。
中断証明書で、家族の等級を引き継ぐ
中断証明書とは
いずれ再開する予定で、自動車保険をいったん止めるときに、損害保険会社が発行してくれる書類です。
これがあるかないかで、以下のような違いがあります。
中断証明書あり | 中断証明書なし |
---|---|
10年以内であれば、元の保険の等級から再開できる。 | はじめて加入するのと同じく6等級から再開する。 |
そして、この中断証明書を、同居する家族にバトンタッチできます。

たとえば
祖父が運転免許を返納するときに中断証明書を取得しておき、数年後に同居の孫に譲ることができます。
自動車保険を止めるときは、譲る予定がなくても、念のためにもらっておきましょう。
保険料を安くしたい人に、候補に加えていただきたい自動車保険はこちらです!
20代後半の保険料は、10代〜20代前半ほど極端に高くなるわけではありません。
しかし、等級がまだ低いことも手伝って、他の年代より高くなりがちです。
そこで、保険料の安さ重視で、候補に加えていただきたい商品をピックアップしました。
- 〔SBI損保〕
- 〔アクサダイレクト〕
- 〔チューリッヒ保険〕
いずれもダイレクト型自動車保険です。
上の3社以外のダイレクト型を選んでも、保険料の金額そのものは、20代前半より安くなります。
お勧め商品に納得できるものがなければ、他のダイレクト型も候補に加えてください。
以下で、お勧め商品について補足説明します。
SBI損保
SBI損保は保険料の安さ重視ならファーストチョイスなのですが・・・あいにくと、事故対応が不評で、苦情件数も多いです。
まったくの自動車保険の初心者は、避けたほうがよいかもしれません・・・

アクサダイレクト
アクサダイレクトは、保険料がダイレクト型としては高くなりがちですが、20代後半はお手頃価格です。とくに軽自動車の保険料は割安感があります。
ただし、遅くとも30歳になるときには、あらためて他社と比較してください。
顧客対応・事故対応の評判は、ダイレクト型の中で平均的な印象です。

チューリッヒ保険
チューリッヒ保険は『スーパー自動車保険』と『ネット専用自動車保険』の2つを、一般家庭向けに販売しています。
広告をよく目にするのは『スーパー自動車保険』の方です。『ネット専用自動車保険』はその格安版です。
『ネット専用自動車保険』の保険料は業界トップクラスの安さですが、そのかわり制約があります。とくに意識しておきたいのが次の点です。
- 加入できるのは21歳〜79歳(記名被保険者の年齢)。
- 保険料払込はクレジットカード一括払いのみ。
『ネット専用自動車保険』に及びませんが、もう一方の『スーパー自動車保険』の方も、20代の保険料はダイレクト型の平均より安く設定されています。
ただし、チューリッヒ保険も事故対応は好評とは言えませんし、解約件数も多いです。
『ネット専用自動車保険』は、割安と言っても一括払いだけなので、まとまった金額を準備できない人には向かないのですね・・・

コストパフォーマンスの良さで自動車保険を選ぶなら、無料の一括見積サービスをおすすめします。
ほとんどの損保会社は、自社のウェブサイトで、簡単に保険料を見積もりできる仕組みを提供しています。
それでも、複数の自動車保険を比較するのは、けっこう時間と労力がかかります。

というのは、仕組みや用語が異る複数の自動車保険を、内容をそろえて見積もりするのは、意外と難しいからです。
時間と労力がかかっても、正確に見積もりシミュレーションできればよいですが、ミスや誤解があるまま決断する恐れがあります。
そこで、無料の一括見積もりサービスをおすすめします。
一回の入力で、おもな自動車保険の見積もりが、お手元に集まります。
このサービスの利用者は、平均して保険料を年間約35,000円節約されているそうです。
