日新火災の賃貸向け火災保険の、補償内容、顧客満足度、企業としての信頼性などを、徹底解説します。
日新火災は中堅の損害保険会社で、東京海上グループに属しています。
日新火災の賃貸向け火災保険「お部屋を借りるときの保険」について、以下のことを解説します。
日新火災の、企業としてのプロフィールをご案内します。
東京海上グルーブの損害保険会社
日本国内には、3つの巨大な損保グループがあります。MS&ADインシュアランスグループ(あいおいニッセイ同和、三井住友海上など)、SOMPOグループ(損保ジャパンなど)東京海上グループ(東京海上日動など)の3つです。
日新火災は東京海上グループの一員です。
2022年度の、3つの損保グールプの市場シェアは、以下のとおりです(MS&ADホールディングスの公開資料)。
日新火災が属する東京海上グループは第2位のシェアです。
「お部屋を借りるときの保険」はネット保険
日新火災は代理店を通して保険を販売する損保会社ですが、一部の商品はネット通販しています。「お部屋を借りるときの保険」はネット通販専用商品です。
一般論としては、代理店加入のほうが、対面サポートがあって手厚いです。
ただし、賃貸向け火災保険はシンプルな商品が多いので、代理店のありがたみは乏しいです。
ライバルには少額短期保険も
賃貸向け火災保険を販売しているのは、日新火災のような損害保険会社だけではありません。少額短期保険会社もあります。
少額短期保険会社とは、➀保険金が少額で、➁保険期間が短く、➂リスクが低い商品を販売する保険会社です。
販売できる商品は制限されますが、会社を設立しやすく、生命保険・損害保険のどちらも販売できます。
下のグラフは、日新火災と、少額短期保険会社全体の、2022年度売上高(全商品)のグラフです。
日新火災は、損害保険会社としては中堅クラスですが、売上の規模は少額短期保険の全社合計を上回っています。
少額短期保険は2006年から始まりました。
業界としての歴史が浅く、官庁による統制が弱いので、損害保険会社より慎重に会社を選ぶ必要があります。
日新火災の賃貸向け火災保険の補償内容の特徴を調べました。
日新火災の賃貸向け火災保険「お部屋を借りるときの保険」のおもな機能を、以下にまとめました。枠で囲まれている補償はグループとして扱われます。
賃貸向け火災保険は、手軽さ・わかりやすさを重視して、補償内容が固定されている商品が少なくありません。日新火災もそうしたタイプの火災保険で、補償プラン設計の柔軟性は低いです。
補償内容は、重要なものは一通りそろっていますが、ライバル商品より薄くて、とくに水災補償がないので、戸建て住宅やマンションの1〜3階にお住まいなら要注意です。
日新火災の個人賠償保険は、1億円までの補償で、示談交渉サービスが付いています。
少額短期保険の場合、保険金1,000万円まで、示談交渉サービス無しというが一般的です。
日新火災の顧客満足度を、統計データ等から客観的に分析しました。
このサイトでは、客観性の高い統計データをもとに評判や品質を判定しています。
ただし、賃貸向け火災保険の場合、損害保険会社と少額短期保険会社とが混在しており、両者の情報公開に隔たりがあるため比較しにくいです。
そのため、かなりの憶測を交えながらの比較・分析になります。
ちなみに、少額短期保険会社については、ネットのランキングのような口コミ情報も見当たりません。
保険金支払いのスムーズさ
賃貸向け火災保険を販売しているおもな損保会社・少額短期保険会社の、過去2年の元受損害率を比較しました(%の数字が大きいほど支払いがスムーズ)。
保険会社 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|
日新火災 | 64.1% | 80.1% |
共栄火災 | 52.4% | 74.1% |
損保ジャパン | 57.9% | 72.4% |
三井住友海上 | 62.6% | 62.3% |
少額短期上位5社 | 17.7% | 23.0% |
少額短期保険会社の数字が悪いですが、建物の保険を扱っていないせいでしょう。
損保会社の中では、日新火災の保険金支払いはスムーズなようです。
苦情の発生状況
少額短期保険会社は、苦情についての情報を公開していません。一方、損保業界では会社ごとの苦情件数が公表されています。
そこで、おもな損保会社の過去2年の苦情発生状況を、ランク分けしました。
苦情の量 | 2022年度 | 2021年度 |
---|---|---|
少ない |
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やや少ない |
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ふつう |
|
|
やや多い |
|
|
多い |
|
直近(2022年度)の実績によると、日新火災は苦情が多いです。
解約の発生状況
解約の原因は商品・サービスへの不満だけではありません。とは言え、他社より大幅に多いときは、何か問題がありそうです。
そこで、賃貸向け火災保険を販売しているおもな損保会社、少額短期保険会社の過去2年度の解約発生率を比較しました(%の数字が大きいほど解約が多い)。
保険会社 | 2021年度 | 2022年度 |
---|---|---|
日新火災 | 3.0% | 4.2% |
共栄火災 | 3.4% | 5.3% |
損保ジャパン | 2.7% | 4.7% |
三井住友海上 | 3.6% | 4.4% |
少額短期上位5社 | 7.8% | 8.0% |
損害保険会社の方が、少額短期保険会社より解約が少ないです。少額短期保険の多くが、持ち家向けの保険を取り扱っていないせいかもしれません。
損保会社の中では、日新火災の解約はやや少ないです。
売上の伸び
顧客満足度が低いと、保険契約更新のときに、顧客が他社に流出してしまいます。
売上高が継続的に伸びている商品なら、顧客の流出が少ないと考えられます。
そこで、日新火災の2021年度から2022年度にかけての火災保険の売上伸び率を、競合他社と比較しました。
保険会社 | 2021⇨2022 |
---|---|
日新火災 | 18.2% |
損保ジャパン | 10.6% |
三井住友海上 | 8.8% |
少額短期保険ハウスガード | 14.1% |
全管協少額短期 | 3.7% |
東京海上ミレア少額短期 | 0% |
比較した5社の中で、日新火災は好調に伸びています。顧客の流出は少ないと考えられます。
〔結論〕日新火災の顧客満足度
ここまでの分析結果をまとめました。
- 保険金支払いはスムーズ。
- 苦情は多い。
- 解約はやや少ない。
- 顧客の流出は少ない。
苦情が多いのは気になりますが、全体としては品質面でまずまず安心できそうです。
苦情が多いけれど、解約や他社への乗り換えが少ないということは、加入者に見限られるような重大な苦情は少ないと考えられます。
軽めの苦情(わかりにくい、対応が遅い、不親切・・・)が多いのかもしれません。
日新火災の賃貸向け火災保険による、保険料の節約例です。
損保ジャパン『THE 家財の保険』、三井住友海上『リビングFIT』、少額短期保険ハウスガード『新リバップガードα』(同社は大東建託グループの少額短期保険会社)と、できるだけ補償内容を近づけて、保険料を比較しました。
会社 | 補償のポイント | 2年分の保険料 |
---|---|---|
損保ジャパン 『THE 家財の保険』 |
|
22,300円 |
三井住友海上 『リビングFIT』 |
|
29,600円 |
ハウスガード 『新リバップガードα』 |
|
23,800円 |
日新火災 『お部屋を借りるときの保険』 |
|
20,000円 |
格安プランはないものの、料金設定は良心的です。
なお、日新火災「お部屋を借りるときの保険」には水災補償がありません。そのことも安さの理由の一つです。
水災とは、台風や暴風雨などによる洪水・高潮・土砂崩れなどです。水災補償がないと、これらによる損害が補償されません。
たとえば、河川・海・崖などが近くにないマンションの4階以上に住んでいたら、必要性はかなり低くなります。
【結論】日新火災の賃貸向け火災保険についての評価をまとめました。
日新火災の賃貸向け火災保険の評価をまとめると、次のようになります。
補償 |
---|
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品質 |
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保険料 |
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日新火災「お部屋を借りるときの保険」にはそこそこの安さを期待できますが、補償が薄いので、コストパフォーマンスはふつうです。
補償内容はふつうでいいので、とにかく保険料を下げたい、という人に向いています。ただし、水災補償がないことには、ご注意ください。
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