こういう人には、地震保険は不要かもしれません。
以下の3つ条件に当てはまる方々は、地震保険の加入をとくに慎重にご検討いただきたいです。
- 地震対策されている住宅に住んでいる。
- 火災保険の保険金額の15%くらいを、他の方法で準備できる。
- 茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、徳島、高知のいずれかの都道府県に住んでいる。
マンションなど地震対策された住宅では、もらえる保険金額が小さくなりがちで、保険に入っても報われにくいです。
地震保険の保険金額の決まり方
火災保険では実際の損害額が補償されます。
しかし地震保険は違います。損害の大きさが4つのランクに分かれていて、どれに当てはまるかで、保険金額は大きく異なります。
たとえば、評価額2,000万円の建物の場合、ランクごとの保険金額上限は下表のようになります。
損害のランク | 保険金額 |
---|---|
全損 | 1,000万円 |
大半損 | 600万円 |
小半損 | 300円 |
一部損 | 50万円 |
損害の大きさがが「小半損」なら評価額の15%、「一部損」なら2.5%しか出ません。
耐震性がある住宅は「小半損」以下になりやすい
地震対策された建物の場合、大きな地震でも「小半損」か「一部損」にとどまる可能性が高いです。
不動産専門の調査会社「東京カンテイ」によると、阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)のマンションの被害は次のとおりでした。
いずれも「軽微な損害」と「損害無し」を合わせると90%近い数字になっています。
ちなみに「軽微な損害」というのは日本建築学会の分類です。地震保険の「一部損」または「小半損」におおむね当てはまります。
以上のことから、耐震性のある住宅であれば、大きな地震でも「小半損」「一部損」にとどまる可能性が高いと言えそうです。
地震保険に入るべきかは、「小半損」「一部損」のときにもらえる保険金額を基準に検討しましょう。
評価額(=火災保険の保険金額の)の15%くらいの金額を、保険以外で調達できそうなら、地震保険に入らなくても良さそうですね。
地震保険の保険料は、現時点では、特定の都道府県の人たちが損をする仕組みになっている。
地震保険の保険料は、どの損害保険会社でも同じになっています。
そして、他の保険商品と同様に、災害にあう危険度に応じて保険料が異なる仕組みになっています。
そして、危険度を判別する区分の一つに、お住いの地域があります。これが問題です。
都道府県による保険料格差
全国の都道府県は、地震発生リスクの大きさによって、3つのランクに分けられています。
下表は、他よりリスクが高いと判定されている都道府県です(枠内は同等です)。
リスクが 高い |
|
---|---|
リスクが やや高い |
|
上に名前がない都道府県は、リスクがふつうの高さです。
都道府県による保険料の差は大きい
地震保険の保険料を、都道府県のみ変更しながらシミュレーションしました(建物500万、家財250万、5年契約)。
都道府県は、石川県(=リスクはふつう)、宮城県(=リスクやや高い)、静岡県(=リスク高い)の3県を指定しました。
県 | 建物 | 家財 |
---|---|---|
石川県 | 15,450 | 7,730 |
宮城県 | 24,550 | 12,280 |
静岡県 | 58,150 | 29,080 |
石川県(=リスクがふつう)と静岡県(=リスクが高い)とでは、約3.8倍もの差があります。
地震保険の保険料体系は不公平?
損保業界団体である損害保険料率算出機構は、政府の地震調査研究推進本部が公表するデータをもとに地震保険の料率を決めて、金融庁の許可を得たうえで保険会社に提供しています。
このようにしっかりした手順を踏んでいますが、気になるのはそもそも政府による地震予測が信頼できるのか!?というところです。
下表は、2019年以降に起きた、最大震度6以上の地震です。
発生年月 | 震源地 | 地震保険 のリスク |
---|---|---|
2019年1月 | 熊本県 | ふつう |
2019年2月 | 北海道 | ふつう |
2019年6月 | 山形県沖 | ふつう |
2021年2月 | 福島県沖 | やや高い |
2022年3月 | 福島県沖 | やや高い |
2022年6月 | 石川県 | ふつう |
2023年5月 | 石川県 | ふつう |
2024年1月 | 石川県 | ふつう |
地震保険で「リスクが高い」とされた都道府県は一つも入っていません。
素人考えですが、現時点での地震予測は、保険料算定に使えるレベルに達していないように見えます。
地震予測の精度が低いのに、保険料の差は3.8倍もあるということですね・・・
地震保険は完成度が低い仕組みなので、他の方法でしっかり対策できるなら、そちらを優先しましょう。
上でご説明したように、➊地震保険に十分な補償を期待しにくいですし、➋地震保険は保険として完成度が怪しいです。
まず地震保険以外の対策を検討
現状では、公的支援制度や地震保険は、地震対策の“最後の砦”とはなりえません。
地震対策でまずやるべきことは、地震に強い住宅を建てるないしは選ぶことでしょう。
すでに住宅をお持ちなら、地震保険の前に、耐震補強工事をご検討ください。
地震保険のコストパフォーマンス
耐震性能の高いマンションや戸建てにお住まいの方々や、地震保険でリスクが高いとされる地域にお住まいの方々にとって、地震保険のコストパフォーマンスが高いとは言えません。
損害が「小半損」のときに保険から出る、評価額の15%程度の金額をすでに確保できている、あるいは簡単に確保できるなら、地震保険は不要かもしれません。
地震保険は途中から付け外しできる
地震保険は火災保険とセットで加入しなければなりません。
ただし、火災保険だけ加入しておいて、後で地震保険に入ることはできます。逆に、火災保険を残して、地震保険だけ解約することもできます。
いったん火災保険だけに加入しておいて、近隣でマグニチュード5以上(中規模以上)の地震が起こったら、そこから1年くらい地震保険に入る、というようなやり方もできます。
大地震の前年に、マグニチュード5以上の地震が近隣で発生している例は多いです。
ちなみに、「マグニチュード」は地震の規模を表す単位で、場所ごとの揺れの大きさを表す「震度」とは異なります。
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